うえびんさんの映画レビュー・感想・評価

うえびん

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忠臣蔵(1958年製作の映画)

3.8

私たちは何者か

1958年 渡辺邦男監督作品

昔は、年末年始のテレビ時代劇で、毎年のように放映されていた『忠臣蔵』。若い頃は西洋にかぶれ、時代劇なんか古臭い、邦画よりも洋画の方が洒落ていて知的だと
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共謀家族(2019年製作の映画)

3.8

スケープゴート

2019年 中国作品

父・リー・ウェイジエ(李維傑)、母・アユー(阿玉)、高校生の娘・ピンピン(平平)、幼い妹・アンアン(安安)の4人家族。父役のシャオ・ヤンを中心に4人のキャスト
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希望の灯り(2018年製作の映画)

3.7

スーパーマーケット・ファンタジー

2019年 ドイツ作品

クリスティアン
マリオン
ブルーノ

ほぼ3人の物語

舞台は旧東ドイツ
無機質で巨大なスーパーマーケット

フォークリフト
休憩室
ゴミ
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アイデンティティー(2003年製作の映画)

3.9

アイデンティティとは何か

2003年 アメリカ作品

現象世界と精神世界
二つの世界

パラレルな展開が面白い

嵐の中
辺境に立つモーテル
いわくつきの地域…

真犯人は誰か

推理が覆される展開
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銀河鉄道の父(2023年製作の映画)

3.8

イーハトーブの詩人
その人を育んだものたち

2023年 成島出監督作品

宮沢賢治(菅田将暉)とその父(役所広司)、その家族の物語。宮沢賢治の作品には、幼い頃からたくさん触れてきました。『雨ニモマケ
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オマージュ(2021年製作の映画)

3.2

これが私の生きる道

2021年 韓国作品

失われたフィルムをめぐる物語。主人公は映画監督のジワン(イ・ジョンウン)。ヒット作に恵まれず、新作を撮る目処が立たない中、突如、仕事が舞い込む。それは、6
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カティンの森(2007年製作の映画)

3.6

レクイエム

2007年 ポーランド作品

ダークグレー
ダークグリーン

くすんだ映像が
暗黒の世界観を醸す

第二次世界大戦
隣国ソ連とドイツに翻弄された国
ポーランド

戦争プロパガンダ

事件
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私がやりました(2023年製作の映画)

4.0

でっちあげ劇場

2023年 フランス作品

個性的なキャラクター、舞台設定、早い展開とセリフ回し、モノクロ映像の挟み方、軽快な音楽…、どれもがバランスよくまとまっていて楽しめました。

殺人事件を巡
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私が、生きる肌(2011年製作の映画)

3.7

◯◯そっくり

2011年 スペイン作品

天才的な形成外科医ロベル
画期的な人工皮膚の開発に没頭する

彼が夢見る“完璧な肌"の創造
その実験台にされた“ある人物"

ロベルと“ある人物”との奇怪な
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市子(2023年製作の映画)

3.3

思い出の…

2023年 戸田彬弘監督作品

杉咲花の独壇場。彼女が演じる主人公・市子は、複雑な背景から終始静かで言葉少ないんだけれど、内に秘めた強い思いを感じさせ、場面ごとに強烈な印象を残す。

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星の旅人たち(2010年製作の映画)

3.6

僕らが旅に出る理由

2012年 アメリカ/スペイン作品

亡くなった息子のバックパックを背負って、それに背を押されながら歩き続ける父の聖地巡礼の道。世界遺産サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す8
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.3

史実の立体化

2024年 アメリカ/イギリス作品

上映時間の長さもあって見応え十分な作品でした。観終えて一日以上が過ぎましたが、まだお腹がいっぱい、胸いっぱいな感覚です。

科学者としてのオッペン
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美しき冒険旅行(1971年製作の映画)

4.3

野生の思考

1971年 イギリス作品
原題:Walkabout

オーストラリアの都市部
白人の14歳の少女と6歳の弟

父親に車で連れ出されブッシュへ
父親を失い残された姉弟はさまよい歩く

そこ
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猟奇的な彼女(2001年製作の映画)

3.6

宿命か運命か

2001年 韓国作品

有名な作品だと知っていたけど、ジャケ写からコメディ要素が強そうで敬遠していた作品。『ラブ・ストーリー』と同じ監督だったんですね。

予想どおりコメディ要素多めだ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.4

鎮魂

2023年 山崎貴監督作品

観たいと思いながら、機会を逃していたところ、近くの劇場でアカデミー賞受賞記念の上映があって、ようやく観ることができました。

ゴジラの想像以上の迫力に圧倒されると
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華氏451(1966年製作の映画)

3.9

本を焼く者は人をも焼く

1966年 イギリス/フランス作品

活字の存在しない未来の管理社会を描いたレイ・ブラッドベリのSF小説が原作。主人公は消防士のモンターグ。その職務は火を消すのではなく本を燃
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.6

同じ空の下で

2023年 イギリス/アメリカ作品

父と娘
親子水入らずのバカンス

水面と空の青さ
中空を揺蕩うパラグライダーが
印象に残る

二人で撮ったホームビデオ
大人になってそれを見返す娘
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波紋(2023年製作の映画)

3.9

水と共に去りぬ

2023年 荻上直子監督作品

カーテンを開ける
陽が入る
庭に彩りの花が咲いている…

『かもめ食堂』
『川っぺりムコリッタ』
荻上監督作品は冒頭から
作品世界に引きずり込まれる
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燃えよドラゴン(1973年製作の映画)

4.0

don't think! feel.

1973年 香港/アメリカ作品

ブルース・リー。名前は幼いころから聞いているし、映画作品の一部をテレビで観たことはたくんあるし、テーマ曲や「アッチョー!」の声
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夏時間(2019年製作の映画)

4.2

家族の風景

2021年 韓国作品

キム・ボラ監督『はちどり』に似た作風
こっちの方がいい

子役の二人がいい
山本高広似のお父さんがいい
無口なおじいさんがいい

親子3代
顔つきが似ているからリ
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ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

神への愛か
自己愛か

2021年 フランス/オランダ作品

舞台は17世紀のイタリア・トスカーナ地方・ぺシアの街。日本は江戸時代初期。本作に描かれる庶民の暮らしぶりは、日本の方が豊かだったように感じ
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.9

愛しのエリー

2022年 アメリカ作品

『マザー!』のダーレン・アロノフスキー監督作品。前作は、キリスト教をテーマとしながらも全く救いが感じられない物語でしたが、本作には救いがあり、鑑賞後の余韻が
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

3.9

歴史的転換

1968年 アメリカ/イギリス作品

今から50年以上前に
30年後の人類と世界を描いた作品

眼前に見る実現された世界
過去に創作された世界
両者の対比が面白い

圧倒的な映像美は雄大
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桜色の風が咲く(2022年製作の映画)

3.3

コミュニケーションとは何か

2022年 松本准平監督作品

視力と聴力を次々と失いながらも大学へ進学、その後、東京大学の教授になった福島智さんとその母・令子さんの物語。

以前、NHKライブラリーで
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愛する人に伝える言葉(2021年製作の映画)

3.8

想い残し

2021年 フランス作品

癌で余命宣告を受けた39歳の息子とその母が、互いの人生を見つめ直す物語。息子のバンジャマンを演じるブノワ・マジメルと母を演じるカトリーヌ・ドヌーヴの掛け合いが、
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.8

トウキョウ お天道様の詩

2023年 ヴィム・ヴェンダース監督作品

早朝、掃き掃除の音で目を覚ます
顔を洗い、歯を磨き、ヒゲを整える

植物に水を遣り、着替える

玄関に並べられた携行品
置かれた
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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.4

大自然の包摂

2017年 アメリカ作品

『ノマドランド』の
クロエ・ジャオ監督作品

高すぎる空
広すぎる大地
眩しすぎる太陽

アメリカの大自然

一場面一場面が絵画のように美しい

とりわけ印
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不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

3.9

意味不明で意味深長

1986年 ソ連作品

こういう世界観は好きだ。異世界なのに既視感も感じられる。アメリカ映画のリアルな宇宙の描写とは違った、シュールで独創的な世界観は、ロシア的宇宙観とでも呼ぶべ
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ガール・オン・ザ・トレイン(2016年製作の映画)

3.5

失意・妄想・狂気

2016年 アメリカ作品

舞台はニューヨーク。離婚の傷が癒えないレイチェル(エミリー・ブラント)は、無職で酒浸り。毎朝電車に乗って、別れた夫と再婚相手のアナが暮らす家の裏庭を車窓
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山の郵便配達(1999年製作の映画)

3.9

思いを届ける

1999年 中国作品

1980年代初頭
中国湖南省の山間地帯

郵便配達を長年勤め上げた父
後継ぎとなる息子

父にとっての最後の旅
息子にとっての初めての旅

山を越え
谷を越え
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.8

料理長はつらいよ

2021年 イギリス作品

90分間、全編ワンショット、ノー編集、ノーCGの映像は、臨場感が抜群。主人公のアンディの目の回るような忙しさを追体験させられた。ピリピリした場の空気感、
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離ればなれになっても(2020年製作の映画)

4.3

光陰矢の如し

2020年 イタリア作品
原題:Gli anni più belli(最高の年)

1982年ローマ、16歳のパオロとジュリオとリッカルドの男子3人組。そこにパオロと恋におちたジェンマ
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蛇イチゴ(2003年製作の映画)

4.0

愛しさと 切なさと 心苦しさと 心憎さと

2003年 西川美和監督作品

あり得そうで、あり得なさそうで、やっぱりあり得そうな、ある家族のデタラメな物語。

冒頭の生活感あふれる演出がいい。シャツを
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

3.9

夢のまた夢

2000年 デンマーク作品

主人公セルマを演じる
ビョークのための
ビョークの物語

独特の映像世界が印象的

途切れ途切れのカット割り
セピア調でノイズ混じりの色調
ブレとフォーカシ
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ブリキの太鼓(1979年製作の映画)

4.2

アジール

1979年 西ドイツ/ポーランド作品

原作はノーベル賞作家ギュンター・グラス。

物語の語り手・オスカルは3歳で自らの成長を止める。成長をやめたオスカルは、家族や地域や社会の傍観者として
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魚影の群れ(1983年製作の映画)

3.7

海と共に生きる

1983年 相米慎二監督作品

年明け、豊洲市場の初競りで、238kgの青森県大間産のクロマグロが1億1424万円もの高値で競り落とされたそう。その金額の大きさにもびっくりしたけれど
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