324さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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ヘヴィメタル/ヘビー・メタル(1981年製作の映画)

4.0

頭の悪い設定やシチュエーションに溢れていて素敵。コミック味の表し方100点。やたら凝った雷や爆発、細部のディテール。『ソフトランディング』のただ宇宙からオープンカーで格好良く着陸して走るだけの意味の無>>続きを読む

ウォールデン(1969年製作の映画)

4.6

遍く風、耀きと瞬き。またはその礼讚。細胞と細胞、フレームとフレームの間に残り消えていく残像。商品ではない無二の価値。平たく言えばめちゃくちゃエモいです。

エル(1952年製作の映画)

4.0

冒頭、男の視点からの洗礼される脚、脚に口付けする司祭、複数並ぶ脚の中でヒールを履いた女の脚に止まる視線。男の立場や女に対する見方が現れる良いオープニング。束縛猜疑心マックスでも食卓の下で女の脚が見える>>続きを読む

スサーナ(1950年製作の映画)

4.0

交錯するが合わない視線。女の魔性や男たちの情けなさより、女の能力の高さに目が行く。鞭打つ母の悦びが滲む正面ショット、抱き付き割れる卵よ。悪魔が来たりて恋をする。

カドリーユ(1937年製作の映画)

3.6

寝取られ後の長い感想戦。イカれすぎててヤバい、どういう情緒。自他の感情についてクドクドと言語化。私たちの情事という謎の共有。女ともだちを挟んだ「今日は帰らない」電話やりとり。序盤、ギトリ越し女ともだち>>続きを読む

デジレ(1937年製作の映画)

3.7

いよいよ声そのものがネタになる言葉の高速ノックとキャッチボール。大仰なフリとオチもご愛嬌。在り在りとした夢の逢瀬と応酬。相変わらず、おしゃで狙いすぎなスタッフクレジット。

夢を見ましょう(1936年製作の映画)

3.8

めちゃめちゃ喋る。言語的な映画の極地。ミニマムに実質3人3幕。これで映画になるの凄い。

とらんぷ譚(1936年製作の映画)

4.3

純粋な遊び心と茶目っ気。おしゃなスタッフ・キャスト紹介、回転扉の変装ショーなど楽しませようとするショーマンシップにほっこりする。小気味良い回想に加え、完全に無声映画の画角ショットが多く、ナレーションベ>>続きを読む

獣人島(1932年製作の映画)

3.6

全能感のlost soul. 悪役の一原型として素晴らしい。簡単に上陸できる緩さや、海運業者からの評判・距離感がいい。

帽子から飛び出した死/奇跡売ります(1939年製作の映画)

3.6

魂の淡い輪郭。魅力的なマッチング、その素材の味だけで勝負。マジックネタ販売業者、霊媒師、殺人事件。それ以上のものは特にない。

クリーピング・テラー(1964年製作の映画)

3.6

饒舌ナレーション。全ADRか。換気扇のデカいホコリみたいな造形。足がちゃんとある。背中の質感もしっかりしてる。手前奥へとフレームインして行楽女子たちを食べるショットは普通に良い。

ブローニュの森の貴婦人たち(1944年製作の映画)

3.8

あらかじめ終わっている恋の作劇。謀る女の顔たるや。動揺がそのまま車の前後移動として現れるの好き。踊り子でもいいじゃん。

ジャン・ルノワールのトニ(1935年製作の映画)

4.3

好き。パートナーとそうなれなかった者への愛憎。掛け違いの連鎖。2人・2組のミスマッチ。列車に乗り夢持ち入地、その地で果て、列車は繰り返し希望と人を運ぶ。入水したパートナー・マリーを抱きかかえて上がる岸>>続きを読む

牝犬(1931年製作の映画)

4.0

欲望の原液。崩れ落ちる様の美しさ、そこに滲む黒い笑い。妻の前夫エピソードがラングのものより強い。幕の開閉で物語であると強調するパッキング。人形劇プロローグ、いいエピローグ。

ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

4.0

彼女らなりで受け入れられぬ愛。それに比例する悲しみをかたどるバチバチにキマった構図。細かいドリーショットやピント操作。空虚で過剰な装飾。ヒステリックでブルー。ベッドから転がり落ちて膝立ちから起き上がる>>続きを読む

低開発の記憶-メモリアス-(1968年製作の映画)

3.7

何者でもない個の記憶。持続せず早すぎて遅すぎる開発の記録。何事も上手くいかない経時的な不安感を国家の変革や超大文字の事象とブルジョワの女性関係に重ねられても。記録映像まで用いて語られるマクロに対してミ>>続きを読む

ウンベルトD(1952年製作の映画)

4.2

どんづまり付き纏う死の影。詐病、物乞いでも捨てきれない自尊心。不穏な選択肢を繋ぎ止める犬。対比される若人の苦労。ラストシークエンスの犬との仲直りによる茫漠とした希望の示唆。シンプルで良い映画。

アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

4.3

唯一無二。強硬リアリズム。ミニマムでストイックな画から経時的な想像が喚起される。フレーム内外の心血と精根。独奏するアンナの簡素なショットが特に好き。

尼僧ヨアンナ(1961年製作の映画)

3.8

堕落の伝播、愛の受肉、舞踏のような戦いの秘蹟。内内に収まっていた反教義は外界へ放散。緊張感を湛えた肉体と画。修道服の白が映える。

夜行列車(1959年製作の映画)

4.6

流れる景色と佇み揺れる男女がグルービー。スキャットが抜群にハマる。元カレのストーキングや殺人犯の逃亡劇など、そこそこに事件は起きつつも群像ですらなく素朴に同室の男と女へ焦点が当たる。盛り上がりどころで>>続きを読む

(1956年製作の映画)

4.0

面白い。断片の輪郭を縁取り内実質が見えてくる。光線の届かない暗影。列車と車の走行・逃走シーンのショットと編集いい。食卓の下・ポケットの中の手榴弾と思惑と裏切り。

パサジェルカ(1963年製作の映画)

4.0

谷崎潤一郎のような女と女の得も言えぬ支配・屈服のイニシアチブを争う関係。責任回避と合理化。未完をありのまま未完としているところが良い。静止画の現代パートも苛烈な過去との対比として機能しているような気も>>続きを読む

絶好調(1965年製作の映画)

3.4

camp違いの一本槍。機能しない道具、形成された都市機能。脱獄穴掘り少年、自由の代償。

幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

3.6

師匠の『traffic』よりも前に一通りの車ネタをやっているの感慨深い。街角の駐車スペース、渋滞との過ごし方。入れ違いの笑い。

破局(1961年製作の映画)

3.5

細かくプレーンな笑い。誇張されたADR. 紙を捨てる、蓋を開ける、切手貼れないで変なところにくっつく、机の脚折れる、斜め机滑るインク瓶と紙。

大恋愛(1969年製作の映画)

4.2

終わる恋と始まる愛。退屈な日々を見送り出迎える。憂鬱な倦怠、溌剌とした慣れないガールハント。マダムの恥ずかしがる赤ら顔やすれ違いネタ、秘書の嬉々とした顔、よそ見ネタなどシンプルな笑いが効く。帰宅してカ>>続きを読む

健康でさえあれば(1966年製作の映画)

3.8

緊張と緩和と誇張。共感できる没入と立ち返り。色彩の笑い。あるあるや削岩機振動のひとネタで引っ張るしつこさも良い。ショベルカーは相当キートン味ある。第3幕のレストランや第4幕はオーソドックスな笑い。素朴>>続きを読む

ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.2

慈しむ郷愁。流転するcircle. トレーラーハウス牽引車のロマンと幸福な旅。名作への目配せ。反復されるテーマのメロディ。サイレントに反してノイジーな誇張ADR. 道化師には孤独がよく似合う。

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

4.7

ガチ恋冷める推しの子。オタクに恋は難しい。マイムと無表情のすっとんきょうで幸福な笑い。視覚的な豊かさに満ちる。最高のラストショット。確かにタチやキートンの影響感じる。リビング、街角、公園、サーカスと完>>続きを読む

時の支配者(1982年製作の映画)

4.3

完璧。輪郭線と色彩に宿る心の匂い。いかにも少年に焦点が当たりそうなところを大人側に時間を費やす違和感。その鮮やかな解消。電子音楽が素敵。

扉の陰の秘密(1948年製作の映画)

4.0

屋敷系ホラーのきれいな一系統。建築物そのものと家人との密接で陰険な秘密が新参者により明かされる。取り囲む気味の悪い親族と周辺者。女の支配からの解放と、その真逆のような閉塞されな殺人部屋の再現趣味。饒舌>>続きを読む

月世界の女(1929年製作の映画)

4.3

ゆったりしたベロシティ、惹きつける魅力の重力。前半のノアール的設え。人物の在不在により展開を開く扉の開閉。後半の完成されたフォーマット。理屈ではなく最早観念的なラスト。縛り付けの機内にて、ベッドから必>>続きを読む

スピオーネ(1928年製作の映画)

4.0

冗長な全体よりも部分が良い。恐怖の質が変わり、光が差そうとした瞬間再び暗霧の闇が広がる幕引きはお見事です。ローアングルバイク疾走から電波発信とモンタージュの序盤テンポ勢い。車内から外を見るため吊り人形>>続きを読む

最後の晩餐(1973年製作の映画)

4.2

黒パンティ眼帯のマストロヤンニたるや。口と消化器と排出口の存在でしかない中空のワーム、その内は是れ即ち空なりと虚ろで満ちる。ユートピアあるいはインフェルノ、原初あるいは終末。食欲減退する色味のスイーツ>>続きを読む

ニーベルンゲン/クリームヒルトの復讐(1924年製作の映画)

4.3

気持ち的には地球規模の復讐。愛ではなく憎しみで分かりあう関係。嫁ぎ先で私怨大噴出。破壊の物量。籠城のroyalty. 前編に比べて在りすぎる一貫性。セット美術は変わらず神掛かっている。土壁、鷲翼冠、鎖>>続きを読む

ニーベルンゲン/ジークフリート(1924年製作の映画)

4.3

魂の伝説浪漫譚と宮廷痴話喧嘩。道中に装備を揃えていく英雄譚の王道にワクワクが走る。強い女ブリュンヒルデを王妃に迎えるための3本勝負を透明化でサポートするあたりまでは牧歌的な幻想譚としてほのぼの観ていら>>続きを読む