324さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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ゲルニカの木(1975年製作の映画)

3.5

眉毛薄めの女、絵画的なその表情。奇抜さや一次的な過激さよりも、最後の夕陽のようなシンプルな表象が好きです。

クレージーホース(1973年製作の映画)

3.6

汚染された文明・イノセントな聖人との二項対立。清濁混ざるイメージの奔流。死、罪。

死よ、万歳(1971年製作の映画)

3.5

少年期の虫を殺す残忍さと父の死との隣接。編集の練習のような単色カラーパート拷問。クソガキの「お前の父さん、共産主義者」という煽り。

白夜(1957年製作の映画)

4.4

虚構らしく美しく構築された世界で引き立つ敗北の哀愁。意味が逆転する降雪。敗者の弁すら聞いてもらえず。佇みと視線。視線の先の対象と空間。時空間越えるパン。街角、ネオン、川、橋、小舟、セットえぐい。

夏の嵐(1954年製作の映画)

4.4

破滅の壮麗。苛烈な青、裏切り。いくつもの禁を破る文字通りに不倫。ヴェネツィアの画と衣装がヤバすぎる。

あるじ(1925年製作の映画)

4.3

モラハラ閉塞室内劇。ホームコメディの礎。プログレッシブ。振り子のように100年経っても繰り返される主題。机のガタツキ、小鳥。バターとハムの値段いくらよ。

光りの墓(2015年製作の映画)

4.2

混線する魂と白昼夢。堆積した記憶に射す光線の墓標。chillな治癒。光輝の中に視認する白血球。

白鷺(1958年製作の映画)

4.0

落ちる熟れた柿よ。清らかな白鷺の乱れ髪と簪。才を持つ男、金を持つ男、どちらも持たない男。人物を中央に配置しないバキバキ構図、障子の窓越しショット、艶やか彩度。

嵐の孤児(1921年製作の映画)

4.0

超大文字の奔流に漂うミクロの探索。くどめの説明。姉のギロチン執行に悲しむ盲目妹に対して口頭で状況説明してあげる親切な兵士に笑う。ラストシークエンス、クロスカッティングの迫力はさすがでございます。

男性と女性(1919年製作の映画)

4.2

逆転する関係。漂泊する愛の残り香。悲しみのため息、ひとり身のせつなさ。慣れて染まるhabit. 人を選び選ばれる。しっかり叙述するインタータイトル。

肉体と悪魔(1926年製作の映画)

4.0

肉体に侵入する薄氷の罪。 vampであり、思ったよりdevil. ネズミ花火と友情思い出モンタージュ。相対するシルエットの2人がフレームアウトしてエンプティショットで勝敗つける決闘ショットが良い。

バグダッドの盗賊(1924年製作の映画)

4.0

幸福は努力して得るものという御伽話らしいテーゼ。グラップラー刃牙みたいな各国王子たちの入場好き。眼福のセットと物量。リアルアニマルと最高な虚構のモンスター・聖獣。しっかり使ってくれる魔法グッズ。

(1926年製作の映画)

3.8

アドベンチャーの礎。信仰心と困難に立ち向かう勇気。確かにアメリカ人に好かれそうな主題。神の子のお迎え。ギミック動物。圧倒的沼映画。

血と砂(1922年製作の映画)

3.8

情熱の燃えさし。むせかえる色香。「鋼鉄のような筋肉ね」からの「その力強い手で殴られてみたい。どんなに素敵な気分かしら」には笑う。もみあげ、うなじ。

オーソン・ウェルズの フェイク(1975年製作の映画)

3.8

他作品から通底する虚構と虚しい現実。作中触れられるように、自身の出自からして然るべき着地点。半分の嘘。ラジオや絵画では面白い主題だが、映画・ドキュメンタリーの嘘は語り尽くされて今更感。贋作画家、伝記作>>続きを読む

不滅の物語 オーソン・ウェルズ(1968年製作の映画)

4.0

物語ろうとする立脚点。嘘-現実の間にある茫漠とした中空。その航海あるいは実証。貝殻、市民ケーンとの類似。

オーソン・ウェルズのフォルスタッフ(1966年製作の映画)

4.2

空虚で満ちるまん丸肥満の軽さ。娼館を秘密基地みたくしてはしゃぐ男たち。聳え立つ槍の直線、均整のとれた城。父性との距離感。

偉大なるアンバーソン家の人々(1942年製作の映画)

3.8

手から溢れ落ち喪失していく美しい記憶。没落する名家とプログレッシブな事業家、対照的な人物たちの悲観はどちらも正しく、発展と共に汚れていく街。変わる人間。シルエット、ハイコントラスト、哀しむ顔アップのO>>続きを読む

刺青(1966年製作の映画)

4.2

呪いの刻印。ちゃんとしっかり艶かしい。白く美しい雪と若尾文子の背中。肌に当たる白く均一な光、激情を映すハイコントラストのライティングよ。画が良すぎます、宮川一夫さん。

女経(じょきょう)(1960年製作の映画)

4.0

ダルマ舟、気丈、噛みたくても噛めなかった女。海辺舞うマフラー、仕事上の遊戯を越えてお金より本当に欲しかったものを手に入れる女。奉仕に目覚め、通り過ぎた若さに恋を思い出す女。黒が強いルック、体調悪そうな>>続きを読む

足にさわった女(1960年製作の映画)

3.7

大仰な洒脱。伸展し、結ばれる脚。揺れない列車。ヒールより帽子が素敵。

巨人と玩具(1958年製作の映画)

3.8

所有と育成。着火しないライター。狂態の商戦。速度と熱量。

ロスト・ワールド(1925年製作の映画)

3.7

受け継がれる遺伝子。闇夜の月と雲、恐竜と驚愕する一同の切り返し的ショット、火山、都市の破壊。謎な猿人。

アイアン・ホース(1924年製作の映画)

4.0

This is Americaな土と血のフロンティア。鉄路の虹、車輪の地獄。 誰かの夢は誰かの利権で誰かの地獄。アメリカ欲張りハッピーセットな敷設労働、ネイティブアメリカン、銃撃戦、バッファローハント>>続きを読む

大阪物語(1999年製作の映画)

3.6

平成の強い香りに郷愁を感じると気付かされる年月。側溝にずり落ちそうな危うさ。吉本と関テレの悪いところ出てる。ひっそり看板に写るCOWCOWに笑う。

コックファイター(1974年製作の映画)

4.2

純度の高い闘い。だからこそ賭博を越えた勝負への酔狂。70'sな観衆のラウドな野次、昼の陽光。闘鶏の美しさ、人間の醜さ。発する一言の何とも言えない弱さ。

悪魔の沼(1976年製作の映画)

3.6

叫び声のサンプリングを含んだ電子音良い。過剰な赤色光、箱物系に付きものな危機感の軽薄さ。ベトナムの香りがするワニと義足。大鎌のロマン。

ヘヴィメタル/ヘビー・メタル(1981年製作の映画)

4.0

頭の悪い設定やシチュエーションに溢れていて素敵。コミック味の表し方100点。やたら凝った雷や爆発、細部のディテール。『ソフトランディング』のただ宇宙からオープンカーで格好良く着陸して走るだけの意味の無>>続きを読む

ウォールデン(1969年製作の映画)

4.6

遍く風、耀きと瞬き。またはその礼讚。細胞と細胞、フレームとフレームの間に残り消えていく残像。商品ではない無二の価値。平たく言えばめちゃくちゃエモいです。

エル(1952年製作の映画)

4.0

冒頭、男の視点からの洗礼される脚、脚に口付けする司祭、複数並ぶ脚の中でヒールを履いた女の脚に止まる視線。男の立場や女に対する見方が現れる良いオープニング。束縛猜疑心マックスでも食卓の下で女の脚が見える>>続きを読む

スサーナ(1950年製作の映画)

4.0

交錯するが合わない視線。女の魔性や男たちの情けなさより、女の能力の高さに目が行く。鞭打つ母の悦びが滲む正面ショット、抱き付き割れる卵よ。悪魔が来たりて恋をする。

カドリーユ(1937年製作の映画)

3.6

寝取られ後の長い感想戦。イカれすぎててヤバい、どういう情緒。自他の感情についてクドクドと言語化。私たちの情事という謎の共有。女ともだちを挟んだ「今日は帰らない」電話やりとり。序盤、ギトリ越し女ともだち>>続きを読む

デジレ(1937年製作の映画)

3.7

いよいよ声そのものがネタになる言葉の高速ノックとキャッチボール。大仰なフリとオチもご愛嬌。在り在りとした夢の逢瀬と応酬。相変わらず、おしゃで狙いすぎなスタッフクレジット。