324さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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ジュリア(s)(2022年製作の映画)

3.8

今以外の消えゆく全て。シームレスに重合する分岐の幻影。『メリンダとメリンダ』より一歩進んだ表現。

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

3.7

シンプル再生。受容。繰り返す間違い、進む先が上か下か分からない螺旋。希望のダイナーがらしさ溢れていて良い。

LOVE LIFE(2022年製作の映画)

4.3

否応なく進む現在の喪失、過ぎ去った思い出。良し悪し、善悪、幸不幸、生死、表と裏、白黒の間で無限に広がる人生のグレーゾーン。息が詰まる普通らしさの中で、非現実的な木村文乃の美しさと空飛ぶ風船が鎮魂や讃歌>>続きを読む

茶飲友達(2022年製作の映画)

4.2

孤独と嘘に囲い囲われ。日陽、手持ちカメラの不穏さ。清々しい離散。邦画を観たぞという満足感。

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.8

マイノリティの辛苦。甘い旅情。味わいのダメージすぎるジーンズ、血まみれ口元にタバコくわえるシャラメ。結える罪。

窓辺にて(2022年製作の映画)

4.0

言葉の呪い。密閉された関係を晒す窓辺の光線、正負の感情を湛えた空気を吹き流す窓辺の風。パフェ。

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

抑制。生きる死。危うい若さへの接近。細かいカメラワークとライティングがいい。改めて黒澤明すごいな。

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.8

瞳に映る愛と憎しみ。祈り忍ぶよりもその瞳に宿した積極的な歪んだ奇跡。ウンチや母乳の絶妙に品が無いところがヴァーホーヴェン。

夜明けまでバス停で(2022年製作の映画)

4.2

躙り寄るどん詰まり。あまりにも的確なそのハッピーセット。

小説家の映画(2022年製作の映画)

3.6

力を入れないのではなくて、入れられないのでは。おそらくは人生の大半は普通である会話や時間の虚ろさ。

セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

3.8

シンプルメンター。主体性と自己実現。劇版歌うバンドやボーカルをそのまま登場させたり、バス車内で赤青ライティングやったり狙い過ぎな感じもそのまま牧歌的で微笑ましい。

トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.3

気性や環境により絡みつく袋小路の悲しみやどん詰まり感。それが今作は兄弟愛によるものというのが得も言えない。分かりやす過ぎるくらい文字通りさらなる悪事に足を踏み入れるのを差し引いても。新作撮ってくれるだ>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.0

シニカルさ、リリカルさ、イデオロギー、バカバカしさ、全てのバランスが良い。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.8

完璧に構築されたウェス・アンダーソン映画の世界そのものを包括した物語の力動は、その造られた世界ではなく二重構造の外側である演劇パートの方へ向き、乗っかる船が無いまま大気圏で摩耗して消沈する。

世界の始まりへの旅(1997年製作の映画)

3.7

サウダージ。究極の老い映画。霞む老年期の視界。後ろへ流れる風景、記憶そのもののような廃墟。柱を支える彫像。

階段通りの人々(1994年製作の映画)

3.7

マエストロ然とした磊落さ。中心に箱と老人と娘夫婦、周辺にクセ住民、環境に階段通り。機能的・演劇的な配置。茶目っけと衒いと照れ隠しのバレエ。安定のバストショットにカットバック。「公認の物乞い」というパワ>>続きを読む

アブラハム渓谷(1993年製作の映画)

4.5

求心性の孤独・欲望・支配欲、遠心性の奉仕。肥大した自己を引きずるような重たい歩行から、解放されたような軽やかなオレンジ畑での浮遊感歩行ドリー。聾唖と歩行障害と美と聡明さ、他者と違うものを抱えた共感性。>>続きを読む

日本の悲劇(1946年製作の映画)

4.5

映画の、制作者の矜持。資本家、糾弾。天皇にまで言及。

戦ふ兵隊(1939年製作の映画)

4.2

焦土、病馬、隊が去った後に土を耕す農民、墓標。悠久の自然。戦闘指揮の長回しフィックスショット。ロバの鳴き声。圧倒的記録。

上海(1938年製作の映画)

3.8

無常。物語る被写体。乾いた画。損壊、トーチカ、墓跡、子ども。

SELF AND OTHERS(2000年製作の映画)

4.6

視線の断章、視点の追憶。牛腸茂雄作品に添えるような強く静かな動的なショット群。露出高めの日陽、住宅街をゆっくり進む車ドリー、ブランコ、渚、川の夕立、木漏れ日。シンプルに西島秀俊の声が良い。

セールスマン(1969年製作の映画)

4.0

善き人だからこそある限界。負い目の無さに支えられる言葉。ビジネスと宗教の接点。

ホース・マネー(2014年製作の映画)

4.0

時空間の超越。記憶する脳・細胞そのもののような暗黒・密室・廃墟。

シルビアのいる街で(2007年製作の映画)

4.3

反射し、屈折する像。労作に費やす時間と汗。注がれる光線。路面電車の窓の反射が良すぎる。一方的観察の気持ち悪さ。勘違いした山崎まさよしのような。

(1965年製作の映画)

3.8

自分を対象に伸び侵入し触れ握られるパラノイア的な恐怖と行為そのものの表象。栗まんじゅう頭部、マスターハンド、ろくろ、鉢植え。

シュヴェイクが行く!「行き先はどこだ?」(1954年製作の映画)

4.2

雪が積もる夜の徒歩連行の叙情がいい。深読みスパイ容疑、雪、破く紙。

シュヴェイクが行く!「コニャックを探せ」(1954年製作の映画)

4.3

夢であるかのような絶妙な距離感の物理空間世界。ディテールとシンプル物語による微笑ましさ。飲水、段差昇降、行進、敬礼など人の細かい動作。コニャック。

天使ガブリエルと鵞鳥夫人(1964年製作の映画)

3.8

皺、泡。肌質に現れる善悪。ヴェネツィアらしい小舟が通るショットのグルーヴ感が最高。

二つの霜(1954年製作の映画)

3.7

ディズニー的な霜のキャラクターデザイン。悪戯、凍える鼻。

コントラバス物語(1949年製作の映画)

3.6

釣りをしている女性の前に裸シルクハット男。捜索と放浪。歪んだ愛。水、天使、月光。

バネ男とss(1946年製作の映画)

3.6

デフォルメが歪んだ悪そのもののよう。原初のセル画。シュッツシュッタフェルの懲悪。

悪魔の水車小屋(1945年製作の映画)

3.8

逢魔が刻の硬質な食事。木と肉と水の質感。手回しオルガンの悪魔祓い。

ウィンダミア夫人の扇(1925年製作の映画)

3.8

細かい手元の動作と心の機微。対照的な引きのマスターショット。