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月世界の女の324のレビュー・感想・評価

月世界の女(1929年製作の映画)
4.3
ゆったりしたベロシティ、惹きつける魅力の重力。前半のノアール的設え。人物の在不在により展開を開く扉の開閉。後半の完成されたフォーマット。理屈ではなく最早観念的なラスト。縛り付けの機内にて、ベッドから必死に身を乗り出してハンドルで速度操作する様は、目覚まし時計に手を伸ばす朝のしんどい瞬間のよう。ロケット内にて「誰か隠れてない?」から近所の子どもが抱き抱えられてくるショットが牧歌的で笑える。女性のショートジャケットとネクタイとワイドパンツの衣装おしゃれ。大衆耳目静止画の混沌感、字幕爆破の予期不安、雄叫びタイポグラフィ。巨大セットとミニチュア、月面の質感、水槽ロケット、無重力ケアの留め具、浮かぶ水滴、友だちのネズミ、ダウジングロッド、酸素タンク、マッチ棒の長短。
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