5lothさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

生活を映しとるのが上手すぎる。松村北斗が光の中で自転車を漕ぎ出すだけで、なぜあんなに美しいのか。部屋で髪を切るシーン、停電の後、重要なことを平熱で話しながら歩いていくシーンの豊かさ。都市の孤独と孤独が>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

3.0

剥き出しになった音楽の本質。意味なんてないさ。めちゃ気持ちよかった。

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

エマ・ストーン最最最高。

ヨルゴス・ランティモス映画の奇天烈さは従来通りながら、衣装や美術、撮影、役者が華やかでポップになっている。ティム・バートンやジャン・ピエール・ジュネが描くようなフリークスの
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戦慄怪奇ワールド コワすぎ!(2023年製作の映画)

3.0

おもしろかった。呪術廻戦じゃん。心霊を題材にしたSFで、編集が上手くて入り込みやすかったな。

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

2.0

ヘンテコ。二幕までの二重構造が、むしろ映画の緊迫感や豊かさを損っている。

“嘘”が持つ光と闇を描き出したかったのだろうが、精彩を欠く。森川葵の演技だけが作品の本質に応えているか。

ドッグヴィルやパ
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傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

3.0

能とか歌舞伎とか、鈴木清順の映画、ケレン味の演出が隔世の果てに辿り着いたのが今作だというような仮説を立てたくなる。すごく見応えがあった。

阿良々木くんは理屈っぽいキャラクターに一見見えるが、献身の愛
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

2.5

掌編。中学生を描くのに通過儀礼を描いてしまうのは、それだけ必要なことだってことなのだろうか。今作の大人たちはみんな適当で、綺麗なままじゃなくてもいいといったメッセージには説得力があった。合唱とカラオケ>>続きを読む

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

3.0

ツチヤの社会性のなさが面白くなってくるばかりか、なぜか映画をドライブさせていく。お笑いのトラヴィス・ビックル。岡山天音がすごかった。

「笑いと叫びはよく似てる」

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

2.5

フランスから見た韓国。ウェットで気味悪く、嘲るように見ていた視点は、いつの間にルーツに引き寄せられている。初めての初見演奏(即興合コン)は、その場をコントロールした気になっていただけ。エピローグの演奏>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

3.0

カウリスマキの文体。哀情と詩情。言葉少なな会話の妙なリアリティと人間性。暗い部分のある画面。

アルコールに溺れてしまう不安は何も説明がないのだけど、世情を参照すると腑に落ちてしまうところがある。
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.0

カメラの距離感が絶妙だ。糾弾も断罪もせず、芸術と愛(と苦しみと憎しみ)を映している。映像も詩的で美しい。ブラッドリー・クーパーはキュートで、キャリー・マリガンは悲壮感があるのがいっちゃんよい。

冒頭
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Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

3.5

仕事の、恋愛の、性別の関係値の不均衡が炙り出されていく。すごい。今作の主人公の立場が逆だったら、もどかしいすれ違いの悲恋みたいに見えるのだろうか、女性側から見たらスリラーだ。一方で美男美女を眺めるロマ>>続きを読む

終わらない週末(2023年製作の映画)

3.0

情報が遮断された状況で、世界情勢の不安定さ、侵略戦争の可能性、テクノロジーの暴走、自然災害などあらゆる可能性が想起され、つまり世界にそれだけの問題が存在することが浮かび上がってくる。そのことがまず恐ろ>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

2.5

降霊術の方法がフックとしてすごく興味深かったが、それを超えてくる展開がなかったな。寂しさや弱さから選択を間違え続ける主人公にのれず。

Saltburn(2023年製作の映画)

3.0

フェイクと純情。恋は邪悪。愛と憎悪。すべては裏表。

邪悪な、君の名前で僕を呼んで。

灼熱の魂(2010年製作の映画)

3.0

宗教対立がもたらしたナワルとニハドの物語にしかし神の慈悲はない。ナワルは愛の円環として閉じようとしたのだろうか。それも胸糞悪い。しかし映画の筆致は確かだ。

中東での浦沢直樹MONSTERかと連想した
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

東京、ああ東京。役所広司は分断されていく世界の狭間にいる天使だ。都市を撮ることで残酷さや不確かさも映りこんでいるが、その中に木漏れ日のような美しさを見つけられる人に自分もなれるだろうか。

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

3.5

イマジナリーフレンドを題材にアニメーションの創造力も縦横無尽で本当に素晴らしい。ストーリーも肝心なポイントを踏み外さず、分かっていても冷蔵庫が走ってくるシーンなど涙を堪えきれなかった。バンティングが言>>続きを読む

ウィッシュ(2023年製作の映画)

3.0

100年の節目にディズニー自体に自己言及する。”星に願いを“になぞらえてスタジオの成り立ちとその純粋性を立ち上がらせようする試み。ただ対比するべき影の部分を濃く描くことが出来ず抽象的になったしまってい>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

3.0

昭和15〜20年に人権と自由を巡る個人史のストーリーがあったことが、どれだけ今を生きる我々の灯火になるだろうか。今の黒柳さんの姿を見ているからこその演出もあるんだろうけど、それでも。

八鍬新之介の映
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市子(2023年製作の映画)

3.5

人間が生きることを、社会に生きることだと見つめたところ、悲しさとやるせなさ、不条理と残酷さ、優しさがどこまでもシビアに立ち上がる。杉咲花のキャスティングがすごい。ケーキにまつわるシーンがどれもいいな。>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

3.0

歴史絵巻としての画面の隙の無さ。ナポレオンは哀れな者として描かれているように見えた。強い愛国者がどのような結果をもたらすかは現代に省みるポイントもあるのかなー。

正欲(2023年製作の映画)

2.5

デリケートな題材をセンシティブに撮っていて、雑に扱うよりはいいし、それぞれの体験に引き寄せて共感を誘うものでもないので、真摯に向き合ってはいるのだが、それは映画の豊かさに繋がるかっていうとそれは別の話>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.5

社会と人間の醜悪さを、怒りと共にポップカルチャーに写しとったホラー映画の傑作だった。

(2023年製作の映画)

2.5

世はすべてこともなし。血みどろ謀略の殺し合いもギャグも大して境目はないってことですか。

OUT(2023年製作の映画)

2.5

バカとクズの対比が出来ていて面白かった。ちゃんとアクション映画だ。

不良はアクションを描くための題材であればよかったけど、所々ヒロイックになって、どうも本域はそっちにあるように見えてしまう。

上手
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マーベルズ(2023年製作の映画)

2.5

テーマもストーリーもアクションも連帯についてを描いていた。そして、年齢も人種も違う3人のチームを美しいと思った。ひとりじゃない。カマラがずっとキュートだ。

こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)

3.0

先入観のない世界はどんな風に見えるんだろうか。偏見なく人を見つめることにあるピュアネスと危うさとおかしさ。社会批評。優しすぎる人たちはファンタジーのようだったけど、誰もが許された理容室の空間の幸福さよ>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.0

殺し屋とは観察者であり、ルーチンを反復する者にして、職人である。それを映しとる照明も撮影もプロフェッショナルに徹している。何もかもがスタイリッシュだ。

その観察者を、我々観客はスクリーンを通して観察
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人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした(2023年製作の映画)

2.5

煽りあるのタイトルとは裏腹に、マイ・インターンみたいな歳の差友情もの、その変奏というシンプルな構成。幸せの加速主義とどう折り合いをつけるかという。

早口や靴、ピアノといった映像的モチーフは機能してい
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テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR(2023年製作の映画)

3.5

ザッツ・エンターテイメント!感情の異なるアルバムを、一つのショーで演じ切るテイラー凄すぎ。観客もめちゃくちゃよい。曲はもちろんよい。映像も臨場感と親密感も両方あってよい。ステージ演出も今後、様々なライ>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

やり直しの物語だった。生き直すという選択肢。時代設定に意味を見出せてよかった。あの時代を扇動していた思想、男性性とか全体主義や家族観をゴジラと共に打ち倒したような。おもしろかった。

戦後にそういう転
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くるりのえいが(2023年製作の映画)

3.0

伊豆のスタジオめっちゃ雰囲気いいな。

わたしの好きな平熱と生活を感じさせる音楽は、平熱と生活感の中から出来ていた。

なんにも起きないショットを長めの尺で使っているのもよかったです。

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

3.0

反戦の一念、受けとりました。山崎貴、この角度から映画を作れるのか。否定するべきものを美しいと感じてしまうことも分からなくはない。

この目的と手段のズレは今も起こり続けていて社会はどんどん変なことにな
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北極百貨店のコンシェルジュさん(2023年製作の映画)

3.0

多様性と変化のアナロジーとしての、絶滅動物のキャラクターと百貨店という舞台。ドタバタオムニバス喜劇の中で、資本主義の歴史と欲望を、思いやりに組み換える試みは興味深かったです。画面を横切っていく運動の中>>続きを読む

あしたの少女(2022年製作の映画)

3.5

何もかもがクソだ。労働も企業も学校も親も役所も。若者から搾取をするな、クソが。

というのは僕の感情だが、映画は冷静にキム・ソヒと周囲の状況を見つめていく。フィルムの向こうに生きてきた人間がいたことを
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