久しぶりに映画館を出た後に足元がグラグラとする感覚で、価値観が揺さぶられている。
ひとつあるのは資本主義へのカウンターなのだろうが、その描き方のバランスが絶妙だ。成功にも人情にも愛情にも寄り添わず、>>続きを読む
こんなの見たことないな。ロバが辿る放浪のロードムービー。見えてくるのは人間の愛情、おかしみ、愚かさ。ショットがどれもバキバキに美しい。神話のようでもあった。
80年代、日々のどこにでもあった罪と罰、差別、不条理と高潔さ。40年後の現在につながる社会的背景と人物まで。もがくポールには共感するが、悪態ばかり上手い子供で憎たらしくもあった。
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傑作。繊細さを失わず、大人たちの食い違いを構造から描いていく筆致は坂元裕二の仕事。(おそらく、是枝監督には書けなかったであろう)どんなに複雑になっても子どもたちと社会への信頼を持った視線は是枝監督のも>>続きを読む
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怪異譚やミステリーとしては興味をそそられるが、テーマの深度や回想パートの冗長さが気にかかる。今作られるべき理由とか。
露伴の初恋(?)の対象が絵であったというのが象徴的でおもしろい。血縁に落とす話、>>続きを読む
過去と未来が侵食し合っている地点が現在なのだから、それはいつも複雑で難しい。後悔と希望がせめぎ合っている。だからといって倒れ込んでやめるわけにはいかない。
いつかの道が光と影に分かれ対峙する勧善懲悪>>続きを読む
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FASTアベンジャーズじゃん。真面目に見てもしょうがないのだが、それにしても何でもありだな。ジゼルまじかよ。こりゃジェイコブも生きてるな。こちらのテンションも上がり続ける。
今作は特に息子や兄弟への>>続きを読む
文化芸術に対する解釈や哲学を、歪曲、捏造された偽物が飲み込む瞬間。
権力は腐敗するものだが、リディア・ターが支配的で傲慢な人間だったとして、それを貶めるものがキャンセルカルチャーだとはあんまりではな>>続きを読む
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はみ出し者、フリークス、傷ついた者たち、全てを肯定するスペースオペラ。感無量です。
ドラックスを肯定するために「知性が重要じゃない」とするところと、最後残ったロケットを助けるのに逡巡のシーンなくバト>>続きを読む
最高じゃん。ここにはテーマや政治的にクリティカルなものは込められていないけれど、間違ったショットはひとつもない。すべてのショットが楽しさと喜びに溢れている。
弱くても諦めないマリオは、何回失敗しても>>続きを読む
おもしろかった。着ぐるみ着ての立ち回りと、花束みたいな恋をしたの感想をダラダラ言ってるところがおかしかったし、最後のアクションはグッとくるものが。
格差社会の弱者の悲哀が、敵役の2人の配置で前作より>>続きを読む
ちひろさん=トトロだと。この不思議な人は今の日本のどこかにいるんです。同じ星の人に出会うくらいのレアリティで。ドングリ持ってくるしね。リアルの”いいね“には相槌と温もりがある優しさを確認する。
いい>>続きを読む
文章を推敲してよくしていくように、過ぎ去った人生をよくしていくことは出来ないけれど、それでも人生を見つめていく映画だった。救済を求めず、自らの暗い物語にも正直であること。ブレンダン・フレイザーもセイデ>>続きを読む
光の設計がおもしろかった。
アピチャッポン的アプローチを感じる前半と、アフター・ヤンと共鳴するような後半。世界の美しさを捉え直すこと。白い光の中で。
結構好きでした。
紀里谷版クラウド・アトラス、或いはエターナルズと見る。よく分からないまま背負わされた過去からの負債に不安を感じ、苛立っている監督のテーマがここに来て時代と振動しているように思えた。
すずめの戸締まり>>続きを読む
設定に全く乗れないまま終わった。陰謀論とかの話なのか?
突拍子もない理論の飛躍というところは、すごくシャマランぽいのだが、映ってるのはサスペンス的カットであって、飛躍に映像がついていっておらず、説得>>続きを読む
この世界はクソみたいな産業と政治的思惑で出来ている。稀なことだが、その中で意志とタイミングが噛み合った時に構造の中だからこその変革が起こせる。
ソニーのスピーチは流石によかった。他者を応援することの>>続きを読む
ユーモアと自由と誇り、人生に必要なものが全てこの映画の中にあったので優勝です。
権力者は嘘にまみれ、市井を顧みることがない。されど後悔と誇りはそれぞれの暮らしの中にあるという古典でありながら、世界が>>続きを読む
マクロとミクロ、宇宙の外から、物語中の物語からフィクションの想像力を肯定してきてこんなん涙するしかない。日常パートが尊い。非日常への変容へのフリとしてあるのでそれはそうなのだが瑞々しい。
ガウマさん>>続きを読む
オーソドックスなスポ根のストーリーながら、演奏シーンのインスタレーションに変容しながらも、モンタージュのポイントを押さえた演出は確かに熱を宿していたし、持たざるものに振りかかかる酷な出来事を描いている>>続きを読む
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撮影も編集も音楽もびっくりするぐらいよくなかった。
やっていることは設定の再構築と開示でしかなくって、人間とか社会を描く気がない。ショッカーの救済が最も困難な境遇の人間を救うこととして、それを否定し>>続きを読む
海を見つめ、恋愛や結婚から思考を逃避させようとしても、そこに誰かがやってきて受難するという段取りめいた、御伽話のような構造、に見えた。
暗闇は怖い。映画は暗闇で見る夢というところから始め、製作の悦びは没頭と支配にあると解く。映像が映してしまうことの罪深さを映し出し、映画と現実は違うと突きつける。映画についての映画でも向き合い方が凡庸な>>続きを読む
タイトルよろしく、可能性も混乱も後悔も、税金も春節も離婚も父も娘もいっぺんにやってくる。混乱の中でなんとか進んでいくことは私たちの人生のことでもないかと、他人事ではなくなった。
見たことない文法だ。前半はジャッキー映画っぽい。
人は正しさだけでは出来ていないが、理不尽に対してどうしようもなく怒らなければならないという少年漫画的な構造。もっと言うと怒りこそが物語を駆動させていく>>続きを読む
語るべきテーマあったかなぁ。ホームドラマ発スター・ウォーズ行き。つまり実質のび太の宇宙少戦争。成長したキャシーのキャラクターは好きかも。
決して世界と相容れない怒りと悲しみ、そして愛。それでも分かち合えることの美しさ。その究極の手段。
“普通の人間”の疎外感からも続いて遠くにそれはあるように見える。
美しく純粋に狂っていて、血まみれでど>>続きを読む
サスペンスとして抜群におもしろく、ロマンスとして蠱惑的で、とてもよかったです。タン・ウェイのファムファタル性やばいな。
台詞は少なめ。視線とカメラワークが何よりもストーリーを加速する。大仰ではないが犯人に関する仕掛けもよかった。80年当時としては衝撃的だったのでは、と想像する。
世界の欺瞞すべてを嘲笑する存在。自分の価値基準が見失いがちになる時、上手くいかなくて何もかもをリセットして壊してしまいたい時にジョーカーは自分の心の中にも現れる。
楽しい可愛い。でも遊び心が何より目立つこの作品が、ウェス・アンダーソンのテーマが一番色濃く出ているんじゃないかと思った。父親について。
役者の揃え方も好きだし、人情喜劇の秀作になりそうな素材ではある。シリーズ化を見越してたようなので、あのラストに着地するのも分かる。松竹の、得意分野を活かしていこうという方向性も好きだ。でもなんだろう、>>続きを読む
曇り空。あらかじめ終わりを決められた子供たち。その中で間違えていくこと。諦観と寄り添う風景。この繊細すぎる物語を、映画だけで補完するのは難しいと個人的には思いました。ちょっと微妙。
何も予定のない日曜日を思い出した。そんな時、僕らはこんな風に少しだけ楽しいことを想像して生きている。
物質的に満たされていても乾いた心。享楽的な生活の中にある孤独。子供時代。
ぬるま湯の地獄。目に見えるが故に断ち切れない家族の絆。ねえ、これは本当に愛情なの?それでも地獄を信じて訪れた奇跡みたいな瞬間。よかったです。
変にひねったとこのない、好感を持てる群像劇だった。かまってちゃんは特別好きなわけではないのだけど、生活に音楽が入り込んでリンクする瞬間はこうだよな、って思った。彼氏を振って自転車を漕いでいるシーンと、>>続きを読む