ブルームーン男爵さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

私がやりました(2023年製作の映画)

3.8

フランソワ・オゾン監督最新作。ある事件をきっかけに成り上がる女優と弁護士を軸にしたコメディ。洒落たファッションや舞台の内装に”おフランス”が薫る。古い戯曲の翻案映画である。

前作の「苦い涙」では、恋
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.7

デヴィッド・フィンチャー監督のネットフリックス映画。劇場でも公開していたので、劇場で観賞してきた。

フィンチャーよろしく、とてもスタイリッシュでクール。ただダークトーンでやや観にくいシーンも。。主演
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.3

マーティン・スコセッシ監督が描くアメリカの忘れられた歴史を描く206分の長編映画。3時間超で観ようか迷ったが、観てよかった。

土地を追われ、ようやく定住したオクラホマで暮らすオセージ族だが、その土地
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ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

3.4

フィリッパ・ラングレーは筋痛性脳脊髄炎(ME)を患っており、職場でもそれが原因であまりうまくいっていない。そんな彼女であるが、息子と一緒にシェイクスピア作の劇「リチャード三世」を観劇し、その不当な描写>>続きを読む

ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇(2018年製作の映画)

3.5

フランスのファッションデザイナーのジャンポール・ゴルチエが手がけるエンタテインメントショーである「ファッション・フリーク・ショー」の舞台裏に迫ったのが本作。ショーの内容はゴルチエの半生を描いたものであ>>続きを読む

ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌(2022年製作の映画)

3.4

プッチーニの名作オペラ「ラ・ボエーム」。イタリアオペラであるが舞台はパリである。ボエームとは、自由奔放なボヘミアンな人たちのことをいう。アメリカのミュージカル「レント」の原作でもある(正直「レント」も>>続きを読む

ファッション・リイマジン(2022年製作の映画)

3.9

サステイナブルなファッションを目指すデザイナーのエイミー・パウニーに迫ったドキュメンタリー。ファッションは現代は巨大ビジネスであるが、その一方で、莫大な資源を浪費し、低賃金労働などの問題も抱えている。>>続きを読む

ホーンテッドマンション(2023年製作の映画)

3.6

全体的に色調が暗くてホラーテイストではありますが、結構コメディ要素が入っていてかなり笑えました。ちょっと物悲しいところもあったり、ホラーでドキッとする場面もあったり、ラストは感動的だったり、バランスが>>続きを読む

燃えあがる女性記者たち(2021年製作の映画)

3.9

インドで被差別階層であるダリッド(不可触民)の女性たちが立ちあげた、女性だけで取材運営する新聞社「カバル・ラハリヤ」を追ったドキュメンタリー。サンダンス映画祭ワールドシネマドキュメンタリー部門で審査員>>続きを読む

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

3.8

「オリエント急行殺人事件」、「ナイル殺人事件」に続く、ケネス・ブラナー監督の三作目。アガサ・クリスティ作のエルキュール・ポアロシリーズ「ハロウィーン・パーティ」が原作であるが、舞台をヴェネチアに移して>>続きを読む

エリザベート 1878(2022年製作の映画)

3.9

本作はハプスブルク家最後の皇妃であるエリザベートを描く。堅苦しい宮廷生活に馴染まず、自由を渇望し旅を愛したエリザベートのある1年を、大胆な創作を絡めて描き出し、彼女の内面に迫る。本作で主演のヴィッキー>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.0

これは痛快!!

バービー人形の実写版ということで子供向きかと思いきや、大人向けのコメディで、おまけにブラックなスパイスがなかなか効いてるし、映画のパロディなど教養も試される(「2001年宇宙の旅」「
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プレジデント(2021年製作の映画)

3.9

ジンバブエにおける選挙腐敗を描いたドキュメンタリー。ロバート・ムガベが大統領をしていたといえば知っている人も多いだろうか。経済政策に大失敗し、1,000%以上のハイパーインフレを起こし、100兆ジンバ>>続きを読む

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

4.0

カンボジア系フランス人の映画監督ダヴィ・シュー(Davy Chou)の作品。「ダイアモンド・アイランド」で長編映画デビューしている。彼の作品を観るのは初である。

主人公は、どこか影があり、孤独を紛ら
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バビ・ヤール(2021年製作の映画)

3.9

ナチスドイツによるウクライナにあるバビ・ヤール渓谷でのユダヤ人の大量虐殺を、全編当時の記録用映像を使用し、ドキュメンタリーとして構築している。わずか2日で3万人以上が大量虐殺されたという悍ましい事件で>>続きを読む

新生ロシア1991(2015年製作の映画)

3.6

軍事的な「ソ連8月クーデター」のドキュメンタリー。このクーデターは、改革派のゴルバチョフ大統領に対して、保守派グループが起こしたもので、結果的にエリツィン大統領を中心とした市民等の抵抗により失敗した。>>続きを読む

さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.8

二人の京劇俳優の人生を、国民党政権下の1925年から始まり、日中戦争、国民党政権下、そして文化大革命時代を経た70年代末まで、半世紀にわたり、中国の政治社会の動乱とともに描いた一大叙事詩。中国第5世代>>続きを読む

シモーヌ フランスに最も愛された政治家(2022年製作の映画)

3.9

「フランス人に敬愛される女性」の1位となった女性政治家の物語。同名の哲学者もいるが、本作は政治家のシモーヌの物語である。ホロコースト体験者でアウシュヴィッツを経験し、親族をホロコーストで亡くしているが>>続きを読む

グリード ファストファッション帝国の真実(2019年製作の映画)

4.0

本作は、難民問題を扱った「イン・ディス・ワールド」で2003年ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したマイケル・ウィンターボトム監督がメガホンを取っている。ファストファッションで成り上がった利己的な男を主>>続きを読む

METライブビューイング2022-23 モーツァルト「魔笛」(2023年製作の映画)

4.5

モーツァルトのオペラでも最も人気の高い作品の1つ「魔笛」のMETライブビューイング(NYのメトロポリタン歌劇場の上演オペラを映画館で上映する取り組み)を鑑賞してきた。モーツァルトはほんと天才だと思う。>>続きを読む

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

3.8

フランス在住のセネガル出身の黒人女性が現実に起こした実際の事件を題材にした法廷劇。第79回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)と新人監督賞を受賞している。映像の絵画的な構図が美しかった。そして語>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.7

宣伝無しということで話題を集めていた宮崎駿の最新作。前提知識で鑑賞してほしいらしく、パンフレット販売も現状無し。

製作陣の意思を尊重して、あえて細かくレビューしないが、印象的なキャラや映像描写はジブ
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大いなる自由(2021年製作の映画)

4.0

欧米などキリスト教圏では基本的に同性愛は罪であって、刑法によって罰せられてきた長い歴史がある。本映画の舞台のドイツでも1994年まで同性愛行為は違法とされていた。1974年までは精神疾患だとみられてい>>続きを読む

宋家の三姉妹(1997年製作の映画)

3.6

Bunkamuraが再開発の影響で休業したが、映画館ル・シネマは移転して、渋谷宮下前に移動して事業を再開している。旧渋谷TOEI跡地の場所である。「マギー・チャン レトロスペクティブ」という特集で、観>>続きを読む

METライブビューイング2022-23 モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」(2023年製作の映画)

4.5

METライブビューイングとは、ニューヨークにあるメトロポリタン歌劇場で上演されるオペラを、映画館上映する企画である。毎年実施しているが、世界最高レベルのオペラを映画館で割安で鑑賞できるとあって、なかな>>続きを読む

アシスタント(2019年製作の映画)

3.9

映画業界に蔓延るセクハラ問題を、アシスタントの女性の視点から浮き彫りにした作品。主人公は名門ノースウェスタン大学を卒業した秀才で、憧れの映画業界で働き始めて5週間の女性である。映画会社の会長とその周辺>>続きを読む

そして誰もいなくなった(1945年製作の映画)

3.4

サスペンスの女王アガサ・クリスティーの傑作サスペンス小説の映画版。1945年の白黒映画。孤島で童謡の歌詞に沿って事件が進展していくプロットは、その後も様々な作家が取り入れている。

ロカルノ国際映画祭
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告白、あるいは完璧な弁護(2020年製作の映画)

3.8

スペイン映画の「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」を原作にした韓国映画。推理サスペンス。原作の映画は未視聴であるが、物語の構造やラストが大きく変更されているそうだ。

ある事件の容疑者と弁護士の会話を
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苦い涙(2022年製作の映画)

3.8

鬼才ファスビンダーの名作戯曲「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」のリメイク版である。上映85分であるが、濃密で飽きさせない。ほとんど主人公の部屋が舞台で、まるで演劇のようである。独特のデザインの室内、そ>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.4

ほんと想像していた通りの内容でした(^-^; 可もなく不可もなしですが、だからこその安定感。もう伏線が分かりやすいし、フラグ立った人はちゃんと漏れなく消されます笑。想定通りの進行で全然怖くないです。1>>続きを読む

リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

3.4

実写版のリトル・マーメイド。坂本龍一監修の全席がプレミアムシートの109プレミアムシネマ(東急歌舞伎町タワー)で鑑賞したが、とにかく音響が素晴らしかった。名曲が多い作品だけあって、楽曲はほんと良いし、>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.0

すごい画力。アメコミの絵が動くとこうなるのだろうなという、独特の画風や色調が素晴らし過ぎる。アメリカのアニメ映画(ディズニーやピクサーなど)は、CGに進化したが、ここにきてアメコミの画風を映像で復活さ>>続きを読む

マゴーネ 土田康彦「運命の交差点」についての研究(2021年製作の映画)

3.7

ヴェネチア在住のヴェネチアンガラス・アーテイストの土田康彦に迫ったドキュメンタリー。ムラーノ島では日本人唯一のヴェネチアンガラス・アーテイストだそうだ。もともと土田さんは存じていなかったが、本作の予告>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

3.8

本作は、実際にボリビアのキリスト教のメノナイト派で起こった事件をベースにした小説を原作に、舞台をアメリカに移し映画化されたもの。キリスト教の一派には近代的な文明機器を受け入れず昔ながらの生活を維持する>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.8

名匠是枝監督(脚本:坂元裕二)の最新作。カンヌ国際映画祭コンペティション部門脚本賞・クィア・パルム賞受賞。これまた重層的で多元的な名作を創り出したものだ。

撮影地は主に長野の諏訪なのであるが、非常に
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.6

11 歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす、離婚したため離れて暮らす父親のカラムとトルコのリゾート地にやってきている。カラムのビデオカメラで二人は思い出を撮っていく。その後、大人になったソフィは>>続きを読む