結びたかった
あの片方の手に
今は違う花
嬉しそうに咲いている
追いかけても
間に合わなかった
季節通り
号泣の空に
透明な傘
また目が合った
その時
ただ頷くだけでも
判ってくれる
そんな人だっ>>続きを読む
薄い水面に
花びらが落ちて
ひび割れても
戻ってしまうのに
何度もこの手でかき混ぜる
酒にも酔えず
好きな唄
洩れ聴こえてくれば
そうなのか
大人はいつも
泣き損ねたままで
仕様がない
机上のスペ>>続きを読む
欠けた記憶ほど
よく語る
埋められない
大きさを知るから
願うばかり
無地の夜
離れ離れでも
静かに脈を打つ
その途中で
逆を見る
不思議を一つでも
減らしておきたくて
潤んだ世界に
さよならを言>>続きを読む
涙には
溶けきらない
愛しさの成分が
浮かんでは弾けて
潔く割れながら消える
数えられるくらいならば
暇潰しにでも
するつもりだったのに
抑えられなくて
呑み込んだ
もう勢いに任せて
忘れてしまお>>続きを読む
唐突に
語り出せば
終わりに向かう
列は途切れる
立ち止まる交差点
緩やかな熱
草臥れた足音
その手を掴んだ
きっと選んだ
あの幾つかの中から
誰にだって
信じたいものの一つや二つ
あるということ>>続きを読む
簡単に眠れるなんて
いつぶりだろう
と考えながら
布団の奥へと沈んでゆく
もう二度と
醒めない夢の中でも
呼吸は止まない
不自然に
心ゆくまでは
黙っている
届かないくらいが
ちょうどよかったのに>>続きを読む
命らしく
そのままで
輝こうものならば
ここでお別れ
優しさの代名詞
愛と勇気
もうそろそろグッバイ
信じられないんだ
それもそうか
他人事だからね
いつまでも
涙ながらに語った言い分
傍から見れ>>続きを読む
そして
背を向けた
あっちも
輝いていたから
まだまだ遠い空の色
忘れられず
心許ないからかな
泣いてばかりの
この頃は
理由だけを捜しながら
わざとらしく迷った
いつもの道
逢いたかったんだ
多>>続きを読む
思い出を並べた
窓際の本棚
模様替えで動かせば
埃と共に見つかった写真
その度に開かないと
忘れてしまうようなものでも
こんなに恋しい
知らなかった
そんなことばかり
笑っていいのか
判らないのな>>続きを読む
切り取れば
幾つでも
物語は生まれる
この今だって
その笑顔に忍ばせた
遅効性のばい菌が
思い出の中で猛威を振るう
勝てない
そう知って
初めて
痛みを伴って
ぼろぼろのままに
天を仰ぐ
泣いても>>続きを読む
それぞれに泣く夜
人知れずとも
やがて流れ着く先には
きらきらと
舟に引かれた光
その色は
七つどころではない
ここから一番遠い雲を
今日も静かに見つめている
何かの拍子で
降りかかってこないかと>>続きを読む
判りきったことを
敢えて何度も
確かめたかった
嬉しくて
花と散り際
抱かれるようにそっと
見つめ合いながら
空をかける
流れる風を詠み
滑り落ちれば
好きだったことまでも
忘れられるだろうか
ま>>続きを読む
そのさようならを
私は見ていない
雨の溜まった水槽の底は
思ったよりずっと昏い
手探りで
掴んだつもりの
左手の袖口
やっていることは
変わっていない
知らないことだって
数えきれない
折り畳んだ>>続きを読む
同時に
落ちてはくれない涙
ばらばらに
流れたその先で
一つになる
美しい始まりにはまだ
足りないものが
多過ぎる
然らば諸共
そんな拠り所
知らずに
頼り切ってしまい
引くに引けなくなっている>>続きを読む
巡り逢い
そして
また
別々の方へ
それが一回転
脚色に個人差はあっても
同じ結末を知っている
涙に譲った
クライマックス
幕が下りるまでは
拭わない
自分で決められない
だからこそ
自然に泣きた>>続きを読む
安らかに眠る
横顔に語る
あれはいつかの思い出
捨てたりしないで
半分だけ
消した灯りに
写る夢
涙ぐんでも
決して落とさない
それはきっと
取るに足りない
優しいだけではもう
何も守れない
それ>>続きを読む
震える手で
書き上げた一行
言葉より
この痛みまで
伝わってしまわぬよう
なるたけ
やわらかい線を辿る
ばらばらにして
時間を稼ぐ
悩ませた分だけちょっと
濃くなる
二人でならば
きっと叶う
遠い>>続きを読む
命までかけて
登った山の頂で
見つけた花
誰かに踏まれていた
そんなものか
何かを見るということは
何かを見ないということになる
どっちもあって世界
それでいて
どっちにしたって世界
知らなかった>>続きを読む
涙らしく
素直に
頬を滑って
落ちるべきだったんだ
今のままでは
きっと報われない
最期まで
時効のように
その時が来ると
消えてしまうような
思いがけない夢でもなお
忘れたくはないと
心に留めれ>>続きを読む
世界はまだ知らない
こんな僕らのこと
そして僕のこと
一度たりとも思わない
だからって
淋しくもないけれど
勿体ないような
ようこそ未来
笑う様まで
誰かに似ている
愉しかったのならば
それでいい>>続きを読む
春を背に
手を掛けた扉に
硝子窓
窺い知る色
けたたましく鳴り響く
煩わしい足音ばかり
近づく気配に
世の常と
頷くような
独りで
終末の変拍子まで
演じきれるのか
青空
控えめに見て
美しい
あ>>続きを読む
静かに
でも確かに
流れては
落ちてゆくように
逆らえそうにもないと
委ねるしかなかった
不透明な先行き
コップの中の
最後の氷が
音を立てて溶けただけ
まるでそれが
さようならとでも
言っている>>続きを読む
汚い塊
そう思えば
消せない憎しみ
上の空で
凍えるような
冷たい視線の先に
何度目の朝
諦められそうにない
何処まで行っても
帰れない
懐かしい場所は
多分もっと
すぐ傍にあったはずなのに
迷っ>>続きを読む
恵まれている
硝子窓に写る部屋を
他人事のように
見つめる
夜は鏡
余計なものを
隠しながら
目が合う
ひとつひとつと
弾ませる話
懐かしいことなんて
忘れるくらい
独りで語り尽くす
いよいよ底を>>続きを読む
狙い通りの脚色を
相応の報いと
認めたところで
結末までは
至らない
物語の難しさ
それは唐突な書き出しの
畳み方
正直
オチはなくてもいい
そこまでは
求められない
それでも
好きなだけ広げた>>続きを読む
伸ばした手は遠く
掴むこともない
震える
あの星を喰らうまでは
一息で消える
温もりは
宵の淵に横たわって
手向けても花は花
咲く程に哀しい
数えないで
眺めているだけなのに
溢れて止まない声は>>続きを読む
泣いてもいいのに
それは落ちることもなく
瞳から二度と
離れまいとする
心に従って
明かした初めての夜は
呆気なく染まる癖に
もういいだろう
理由は多分
幾らでも見つけられる
そこにも
あちらにも>>続きを読む
ぎりぎりに立って
振り向く隙もないような
それでもやはり
簡単に背中は押せない
あと一歩は
自分から
それがきっと勇気
大丈夫
もう口癖にしてしまいそう
その言葉をあと何回
繰り返せばいい
大丈夫>>続きを読む
雲に浮かんだ
不揃いの月を見て
懐かしいと
思ってしまった
空ばかりを見ていると
ここも一つの星だったことを
忘れてしまいそうになる
賑やかな惑星
そうか
だから多分
いつかその時には
やっぱり思>>続きを読む
夢の終わりを
何度も繰り返した
あの曲がり角は
どことなく似ている
優しくなりたい
嘘に混ぜて
そう呟いた時から
いやきっと
もっとずっと前から
始まってもいなかったとか
失笑くらいは
起こってく>>続きを読む
消えるのはきっと
今に何度も
空を睨むことを
知っていたからだろう
傘のない街で
雨宿り
同時に濡れてゆく
笑っている
そのまま
切り取ったら
忘れられなくなる
この目はずっと
何を観たかったのか>>続きを読む
考えるよりも先に
感じてしまっていたこと
上書きをするように
隠してしまう
見えなかったら
無いのと同じ
誰だってそう言うと思った
常識は今
音を立てて
崩れていった
世界はまだ
始まったばかり>>続きを読む
枯れる花の如く
その時が来ればいずれ
気がつく間もなく
燃え尽きる
輝きに
理由を捜した
何となく
間違っていた方が
まだよかったと
無駄に心を
費やすばかり
愛を常備
宛らお守り
いつかはきっと>>続きを読む
言葉はなるたけ少ない方がいい
果たしてそうだろうか
最後の最後になって
ようやく零れ落ちるなんて
誰かの隣りに
居て初めて
この淋しさを知る
痛みのことを
ちゃんと痛いって
思ってみないと
涙の純>>続きを読む
振り返るスピードで
もう一歩だけ
その足を遠くまで
運べたのならば
未来にも
舞う紙吹雪
見上げる日もあったのか
懐かしむには
まだ早い
生きるとは
変わってゆくこと
若しくは
変わらないと
決め>>続きを読む
掴んだものと
零れてしまったもの
その数が合わないのは
もう仕方がない
気づかないふりを
続けるのだって
きっとずっともっと痛い
守るって
二つないと
駄目なんだね
表と裏
向こうとこちら
尤もら>>続きを読む