サンヨンイチさんの映画レビュー・感想・評価

サンヨンイチ

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容疑者Xの献身(2008年製作の映画)

4.7

落涙必須の愛の物語として非の打ち所のない不朽の名作。
ちゃんと今見ても面白いのは素晴らしいし手強い。

とにかく堤真一の剛柔備えた演技の力に説き伏せられる。
ドラマシリーズは未見だが明らかに曲者の湯川
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アザーズ(2001年製作の映画)

3.3

面白いし真似できないトリック。
信頼できない語り手の、それと感じさせない
絶妙に好感の持ちきれない主要人物たちのせいで
心の拠り所のない時間がフワフワと続く。

心霊系統の作品のなかでは珍しく
種明か
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.5

前作ではいよいよ人間は蹂躙されるミクロな存在だったが
遂に本作では人間は蚊帳の外。ストーリーに存在してもしなくてもよい空虚と化した。
人間の私生活が映し出されず、コングの食事やシャワーシーン、ゴジラの
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.2

ノーラン作品として腹を括ると
非常に見易い構造になっていたし、

オッペンハイマー視点を正とする
カラーとモノクロの使い分けも親切。
キーワードを起点に二つの時間軸が連動するので
各シークエンスごとに
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ローマの休日 4K レストア版(1953年製作の映画)

4.6

ロマンティックコメディの王道
まさにキングの冠に相応しい
可愛らしさと奥ゆかしさと切なさと晴々しさ。
祈りの壁が如くその魅力を書き連ねたくなるが
その魅力は、こうあってほしいという願望であり、
21世
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

Part1を何故か好評していたが
当時の印象を遡っても相当冗長だったし、
Part2のテンポの良さと比較すると
同じ監督とは思えない展開運びである。
しかし、ハンスジマーの存在感は1でも2でも健在で
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女神の継承(2021年製作の映画)

3.3

モキュメンタリーが好きではなく、
モキュメンタリーである必要性もあまり感じない。

ただ監視カメラ映像は強い…!

運命論、終末論的な抗えない
ストーリーテリングは悪くないが
要所要所以外は割りとアジ
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ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

3.7

思っていたよりグロテスクではなく、
スプラッタームービーを期待していた分
拍子抜けしてしまったが
期待を下回った分、
噴き出して笑ってしまうような下品さとくだらなさの応酬にはまった。

ヴィーガン自体
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いつだってやめられる 闘う名誉教授たち(2017年製作の映画)

3.9

シリーズ最終作、大団円のフィナーレ。
商売→捜査→脱獄、とそれぞれ目的を変えて
行われてきた頭脳戦だが、
やはり映画というフォーマットに於いては
脱獄(ケイパーもの)との相性が抜群にいい。
持ち場見せ
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いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち(2017年製作の映画)

3.6

エキスパートは10人になり、
一人一人の専門性を活かすシーンはやや低減しているが
コメディとアクションが増幅し
緩急起伏の激しいウィットに富んだ作品になっている。
スラップスティック的なドタバタ感が増
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.4

全編ほぼアニメーションだが
虚実入り交じりのない
起きた事象として
強く心に刻まれてしまう。

ひとつは音の演出によるところが大きい。
映像はアニメーションで、写実的でもリアリティのあるものでもなく、
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マッチスティック・メン(2003年製作の映画)

3.5

ケイパーバディムービーにどんでん返し。
リドリースコットらしからぬ
軽妙な語り口と
トリックが主役の、
何となく小手先感のある作品。

重厚なガッツリしたリドスコ味を期待すると
いささかパンチの弱い作
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.2

マシューヴォーンの好きなところが凝縮されていて、
グロテスクさとともに男臭さを脱臭した
小綺麗なスパイ映画が誕生した。
目新しさがないとも言われているけれど
終盤のアクションシーンのような
楽しいと思
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.4

人里離れた趣ある民家に暮らす家族。
余裕ある佇まいの妻と教師の夫、
何やら風情なライフスタイルが確立されているようであるが
そんな好意的な印象は
裁判で明かされる証言によって
脆くも落下していく。
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ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

4.2

自然をモチーフにドキュメンタリーを撮ってきた監督のタッグ。
その経験とVFXが融合したことにより、
未だかつてみたことのないような
ナチュラルな大洋の恐ろしさが現れている。
暴風雨や荒波のシーンもそう
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フェイス/オフ(1997年製作の映画)

4.1

最高すぎ。
刑務所以降の惹き込みかたが上手すぎて
ストーリーの荒唐無稽さが
味となって絡み合う。

入れ替わっただけのフック1本で2時間超魅せ続ける
主役2人のパワープレイ。

ニコケイが好きなんだよ
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ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-(2019年製作の映画)

3.4

不勉強すぎて分からないことも多々あり。

これ系への理解度の低さが
毎回勉強へのモチベーションになる。

Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

4.0

冒頭10分で解る関係性と
男性社会の構図。
足を踏み入れれば、下劣なジョーク、マンスプレイニング、マウント合戦と、
忙しく繰り広げられる有害なやりとりで
早くも食傷気味になる。

こうした社会の縮図が
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.5

久しぶりに完全に分からない作品がきた。
アリアスターには、
どんどん置いていかれている。

根幹は薬によるトリップなんだろうが
どこまでが本当で
どこまでが幻想なのかも分からないし
すごい作品を観てい
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.5

単体作品として
ファンタジー巨編が一本でまとまっているのは
大層結構だが
為に係数が多く、
どれもが上手く行かないことの連続で
いったい何を見せられていたんだ?
という時間が多い。

こういうのでいい
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.2

隣県がごとく自由に行き来できるペルー。
レンタカーのように長期貸出に対応している盗んだタクシー。
町中のデバイスにアクセスできる技術があるNSAに対し、
ナンバープレートを外したくらいで逃げ切れる市警
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マルコムX(1992年製作の映画)

3.6

ストーリーの大半で
煽動的かつ過激な思想に傾倒していたマルコムXに対し、
作品全体が一定の距離を保ち続けているのが素晴らしい。

宗教との歴史的背景の絡まりかたも
色濃く描かれており3時間は納得の長さ
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

3.9

想像を超える人間とタコのロマンス。

目や足の動きによって伝わる生物の“鼓動”。
彼女らが何を想い、何を感じ取っているのか、
全ては人間の推測の域を越えることはないが
どれだけ冷静を心掛けようとも
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シャザム!~神々の怒り〜(2023年製作の映画)

3.6

これでええねん映画の局地とも言えるし、
あなたの最大の力はあなた自身 という
割と大事なことでありつつ
MCUでは意外と出来ていないテーゼを
ストーリーの軸に、シンプルにまとめているとおもう。
故に、
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.4

不条理で寓話的なランティモスワールドがスペクタクルな物語へと昇華し壮大なスケールを纏う。作り物の空や風景は舞台上に広がる無限の亜空間といっても過言ではないだろう。

魚眼レンズを多用する映像は、過去作
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.8

本当に意地の悪い監督だなあと思うが
演者の見事すぎる演技によって
とても見易い作品になっている。

特にオリヴィアコールマンによる
帝王の晒し首が見事で
それでも振り回され続ける2人の側近と
国の混乱
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フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)

3.5

意見、思想の暴走をそのままに描く
強烈な映画体験。
○ーシーや立花○志のような
己のいう正義が絶対であると信じて疑わない
(それ以外の選択肢を自ら潰してしまった)人の
窮地の姿が薄皮1枚のフィクション
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.6

凄惨なラストまで
大いなる闇に仕組まれた胸糞映画。

人種を発端とする貧困格差について、
デモが起き、反乱となり、秩序が崩壊する、
というシンプルな構造だが、
新秩序においても
格差は逆転するだけで無
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スティング(1973年製作の映画)

3.5

小気味いいテンポ感が楽しく、
何者かに追われるそれぞれのシーンが
スラップスティックコメディのようでいて
クライムサスペンスの域を出ない
絶妙な塩梅で繰り広げられる。

やや強引なラストでも、
見てい
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アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

3.4

ワンは偉いね。
こんなゴタゴタに巻き込まれた映画を、
それなりの1本2時間にまとめてくれるのだから。
アンバーハードは罪深い。
いるはずなのに“いない”王妃の存在が
ずっとチラつくし、
珠に出てきたか
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(2023年製作の映画)

3.7

アウトレイジを思わせる予告は
詐欺まがいの偽物で正に影武者。
男色を中心とした有象無象の
戦国武将たちの人間模様は
時に血生臭く、
時に色めかしく、
時に喜劇が如く馬鹿馬鹿しい。
一つパーツが変われば
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「A」(1998年製作の映画)

3.5

28歳、まだ若い青年という風貌で
世間にその顔を晒し続けた荒木氏。
世間知らずの未熟者という
レッテルを貼られやすい優しげな人物像は
ラストシーンでついに
彼の持つ「普通」性とリンクしてしまう。

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いつだってやめられる 7人の危ない教授たち(2014年製作の映画)

3.7

一人一人の専門分野を駆使して
商才を発揮していく様は
お仕事映画系オーシャンズさながらだが、
100分強の短い作品のなかで
テンポよく凋落していく展開は
ストレスが極めて少なく、
敷居が高いと感じてし
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.8

最悪で最高なスプラッター映画。
冒頭こそ不安になるチープな演出だったが
尻上がりにグロさが強化されていく。
血飛沫や内蔵がでる度に顔を逸らしながら
拍手したくなる、
この爽快感こそ
1月の肌寒さを吹き
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

3.6

鑑賞には心の健康状態を確認してからにしたいが
荒唐無稽なサバイバルスリラーと
太平楽な韓国発コメディ映画らしさをうまく掛け合わせた
奇妙な違和感の美しさがある。

韓国エンタメは
家族やマイホームの崩
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