たかちゃんさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

たかちゃん

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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

2.3

映画祭を訪れた風采の上がらないウディを思わせるシネフィル。このおっさんの映画オタクぶりに苦笑。トリュフォー、ゴダール、ベルイマン、ルルーシュの再現や、好きな映画を聞かれ、稲垣の『忠臣蔵』、黒澤の『影武>>続きを読む

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

4.2

ユダヤ教徒家族の男児(生後6か月)を、キリスト教教皇の指示で誘拐、キリスト教徒として育てられる。攫った理由は、洗礼を受けたから。乳母が親の知らないところで協会に連れて行ったのだ。洗礼は取り消せない。洗>>続きを読む

流転の地球 -太陽系脱出計画-(2023年製作の映画)

3.5

リウ・ツーシンの短編を原作にした中国のSF映画。太陽系消滅に備え、地球連合政府による太陽系からの地球離脱計画が進む。離脱計画を計算すると、月に地球が激突することから、世界の核保有国から核兵器を集め、月>>続きを読む

ボンゴマン ジミー・クリフ デジタル・リマスター(1981年製作の映画)

3.9

レゲエ・ミュージシャンのドキュメンタリーは、『ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ』があるが、本作のジミー・クリフは反骨精神、反逆の音楽を掲げながらも、ボブに比べ>>続きを読む

村八分(1953年製作の映画)

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国立映画アーカイブ NFAJコレクション
野田真吉「谷間の少女」監督補佐が今泉善珠なので、ここに記す。
『谷間の少女』(49)
ドキュメンタリー作家・野田真吉には2本の劇映画がある。本作と『機関車小僧
>>続きを読む

吸血鬼(1956年製作の映画)

3.7

パリを舞台にしたイタリア映画。リカルド・フレーダは『ロミオとジュリエット』をコメディのようにしてしまった凡才だが、本作は途中から撮影のマリオ・バ―ヴァに交代したためか、見ごたえのある実験的撮影を導入し>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

胎児の脳を成人女性に移植。進化・学習により知識を吸収、自我により、善悪、モラルを身に着ける。そして、阻害、支配するものを排除する。性は本能であり、好きなように行動する。女陰を切除しようとするものも撃退>>続きを読む

MONTEREY POP モンタレー・ポップ(2017年製作の映画)

4.5

インタビューもナレーションも排除した、1967年6月のモンタレー国際ロックフェスティバルの音楽ドキュメンタリー。まずジャニスで感激。中盤はザ・フ―のギター破壊、ジミヘンの破壊したギターに炎。そしてラヴ>>続きを読む

風と共に散る(1956年製作の映画)

3.9

ダグラス・サークのカラー、シネスコ作品。ロバート・スタックとドロシー・マローンが強烈なキャラで、ロック・ハドソンの影が薄くなった。富豪のスタックの金遣いの荒さ。誘いについてゆくバコール。裁判の証言は先>>続きを読む

みなに幸あれ(2023年製作の映画)

2.2

幸せは誰かの不幸の上に成り立っている、という論理が強引で、映画として説得力がない。不幸というより、監禁という犯罪。ヒロインも2つの殺人に対する罪の意識が希薄で不気味。結果として登場人物は誰ひとり、幸せ>>続きを読む

かづゑ的(2023年製作の映画)

4.1

ハンセン病を題材にした映画は、『小島の春』、『砂の器』、『あん』があるが、すべて劇映画であった。文芸映画『ベン・ハー』は、キリストがらい病を瞬時に治してくれるので問題外。リバイバル上映では字幕が「業病>>続きを読む

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

4.0

二百三高地の戦闘で生き残った男が、アイヌの隠し財宝の地図の刺青の話を聞き、アイヌの娘とともに財宝を見つけるための地図探しを始める。そのスタートまでが本作だが、登場人物のキャラが面白く、主人公・杉元の頬>>続きを読む

時は止まりぬ(1959年製作の映画)

4.5

ダム現場での越冬宿泊者を描いた、オルミの58年作品。三島由紀夫がダム建設現場での越冬を描いた「沈める滝」の発表が55年だからほぼ同時期なのは、偶然にしても面白い。三島が同僚との越冬で起きる、価値観のぶ>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

3.8

脱北の手助けをする韓国の牧師。そして実際に脱北の実行に移すブローカー。脱北する家族。その三様がどうも意思の疎通がうまくないようで、じれったい。無報酬の牧師、逃亡の途中で報酬アップを要求するブローカー。>>続きを読む

シシリーの黒い霧(1962年製作の映画)

3.9

フランチェスコ・ロージがサルヴァトーレ・ジュリア―ノの怪死から、シチリアのマフィア組織を暴こうとした野心作。ロージは『真実の瞬間』、『黒い砂漠』と、常に政治、社会の不合理、不条理さに迫ろうとする。そr>>続きを読む

アバウト・ライフ 幸せの選択肢(2023年製作の映画)

4.0

リチャード・ギア、ダイアン・キートン、スーザン・サランドン、ウィリアム・H・メイシー。この出演者から、また旧作上映作品かと思ったら、ピカピカの新作だった。結婚に踏ん切りのつかないカップルが、お互いの両>>続きを読む

私は彼女をよく知っていた(1965年製作の映画)

3.9

ヒロインは、素直で純粋な心の美しい娘。美容師、映画館の案内嬢などの仕事に就くが、要ウジンの意地悪や、男なんて利用すればいいといった助言に幻滅。死を選ぶ。暴力や男に貢ぐわけでもないのに、彼女が求めた生き>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.8

山下作品は、脚本家によって過激なコメディになることもあるが、本作は節度ある、寸止めの利いたコメディになっている。やくざも暴力をふるう場面はない(カバンで頭を殴るくらいか)し、物わかりのよい人たちで、中>>続きを読む

燈火(ネオン)は消えず/消えゆく燈火(2022年製作の映画)

4.0

ネオン職人の死による、妻、娘、弟子、そして顧客」の織り成す人間関係の繋がり。技術の継承、法の理不尽さ。娘は父の思い出を捨てて、吹っ切れた生き方をしたいが、母は夫の残した思いを育てようとする。その地味な>>続きを読む

女の闘ひ(1949年製作の映画)

2.1

49年作品なのに、終戦後の臭いがしない。車の少ない大通り。靴磨きも、傷痍軍人も出てこないのは、意図的に画面から隠しているかのようだ。登場人物の家庭はブルジョワで、服も調度品も高級。息子の相手を女給と蔑>>続きを読む

若い恋人たち(1959年製作の映画)

2.2

ヘンなタイトルだ。「熟年の恋人たち」もあり?
息子の結婚相手が、バーの女給だからいかんと、反対する両親。妹の応援と、職場の関係で反対者を黙らせる加東大介は、黄門様の印籠のようで面白くない。司葉子が仕事
>>続きを読む

シャクラ(2023年製作の映画)

4.0

ドニー様が宙を駆け、坊主が気で炎を飛ばす。過剰なアクションとして楽しめるが、話は陰惨。陰謀で人が殺され、流言飛語に踊らされ、ドニーと彼を信じる人たちは孤立無援の戦いを強いられる。この暗さが全編を支配し>>続きを読む

エクスペンダブルズ ニューブラッド(2023年製作の映画)

3.4

脚本は雑だけど、面白い。誰が裏切り者で悪役なのかはすぐわかるし、リーダーが本当に死んでしまっては、シリーズが続かないことも、観客は承知している(ネタばれになる?)。先が読める展開なのに、なぜ面白いのか>>続きを読む

COUNT ME IN 魂のリズム(2021年製作の映画)

4.3

音楽ドキュメンタリーは、人間が主役だが、本作は楽器のドラムが主役だ。ドラマーに、ドラムを始めた動機を聞く。演奏するドラマーに魅了されたから、と多くのドラマーが語る。
印象に残るコメントを列記する。
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ロッタちゃん はじめてのおつかい 2Kリマスター版(1993年製作の映画)

4.1

1993年のスウェーデン映画。「ロッタちゃん」シリーズの2作目。
ロッタは両親と兄、姉と暮らす5歳の女児。ブタの縫いぐるみ、バムセを溺愛、どこに行くにも手放さない。母が新しいセーターを買ってくれたが、
>>続きを読む

リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング(2023年製作の映画)

4.5

ロックンロールの創始者のひとり、リトル・リチャードのドキュメンタリー。人種差別と同性愛の壁を自身のキャラクターで打ち破り、公民権運動のバックアップとした。クイア(LGBTQ)を強調して白人からも受け入>>続きを読む

FEAST -狂宴-(2022年製作の映画)

3.8

料理店の経営者と、その息子が材料買い出しの帰途、ひき逃げをする。両親は黙っていろ、と言うが、息子は罪悪感を拭えない。病院へ行き、治療費を支払う。被害者は昏睡状態だ。
被害者家族は、安楽死を択び、維持装
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NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)

4.1

メイド兼ベビーシッターは、家族を救う存在なのか、それとも邪悪な存在なのか。これは逆『テオレマ』だ。フィリッピン人メイド、ダイアナの不思議な治療で健康を回復する妻・クリスティーンだが、夫は不信感を募らせ>>続きを読む

サンクスギビング(2023年製作の映画)

4.4

殺し方がどれも違っており、実に凝っている。凄惨だけどユーモラス。そこがイーライ・ロス。殺し方も素晴らしいが、殺人鬼の正体も予想を裏切る人物。
突っ込み所は、ヒロインが襲われた時、顔面にスプレーを吹き付
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

4.1

うん、ホラーはこれくらい怖くなければ。観ていて、日本の「こっくりさん」みたいだ、と思った。『雨の午後の降霊祭』のような格調はないが、グロ描写は容赦なし。主人公のミアが惨劇の元凶で、同情の余地なし。ほと>>続きを読む

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(2023年製作の映画)

2.4

公開2週目の末日なのに、女子で埋まった場内。後期高齢者はワシひとりじゃった。評判のわりに、結構よくできていると思ったが、タイムスリップがあまり活かせていない。戦争はもうじき終わることを訴えるだけで、成>>続きを読む

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White(2023年製作の映画)

4.2

トレーラーを観て、面白そうだと思った。お子様向けかと思ったら、大人も楽しめるアニメだった。作者の勉強ぶりが作品に成果として反映されている。ジョン・ル・カレこそないものの、イアン・フレミングは端々に垣間>>続きを読む

地獄の英雄(1951年製作の映画)

3.8

ワイルダー得意の新聞社ものだが、コメディではない。流れ者の記者が田舎町のローカル紙に自分を売り込む。大口ばかり叩く奴だが採用される。蛇胎児の取材途中に、洞窟の落盤で動けなくなった男の情報を独占取材。そ>>続きを読む

ストレンジャーズ6(1949年製作の映画)

4.0

キューバの独裁政権に立ち向かう6人。墓地までのトンネルを掘り、爆弾を仕掛ける。だが、葬儀会場が変更になり…。ペドロ・アルメンダリスの公安警察が粘着質なキャラで不気味。ジョン・ヒューストンらしさは乏しく>>続きを読む

ボディ・アンド・ソウル(1947年製作の映画)

3.6

チャンプがギャングの八百長に手を染める。ラストは分かっているのだが、そこに至るまでの描写が巧い。周囲の人々は、チャンプに「騙されている」と警告しても抜け出せない。ワルはどこまでもワルで冷血だ。権力者、>>続きを読む

深夜復讐便(1949年製作の映画)

3.7

林檎の取引で、売手を騙す買手のリー・J・コッブ。悪人だがやり口がセコイ。父親の復讐を暴力で晴らすのがちと物足りない。しかし、日本の『トラック野郎』は、A地点からB地点に運ぶだけの話だった。市場に届けて>>続きを読む