fiorinaさんの映画レビュー・感想・評価

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真夜中の虹(1988年製作の映画)

4.2

アキ・カウリスマキの労働三部作の第2作目

職を求めて南を目指す男・カスリネンの姿を描いており労働三部作の中でも結構ハードボイルドな作風となっていて好きな部類の作品

刑務所でのケーキや本の差し入れと
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バルカン超特急(1938年製作の映画)

3.7

ヨーロッパの架空の国バンドリカからロンドンへ向かう特急列車の中で消えた老婦人の行方を追うサスペンス

トリュフォーが最も好きな作品と公言しておりヒッチコックのイギリス時代の傑作として認識されているけど
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サーカス(1928年製作の映画)

4.4

『燃えよドラゴン』や『上海から来た女』よりも以前にミラーハウスを使ったシーンが本作にありチャップリン扮する放浪者が警察に追いかけられるんだけど思わず笑ってしまった

CGがないサイレント期に本物のライ
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.1

アキ・カウリスマキの労働三部作の第1作目

ごみ収集車の運転手とスーパーのレジ係という社会の片隅で生きる男女の不器用な恋愛を描いた作品で登場人物みんな無口で無表情なんだけど映像の魅せ方とか美しくて満足
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8人の女たち(2002年製作の映画)

3.8

雪に閉ざされた屋敷で起きた殺人事件を描いたサスペンスなんだけど合間に8人の女優が歌うミュージカル仕立てになっていて結構異色な作風だった

実は初めてフランソワ・オゾンの作品を観たんだけど美術や衣装の配
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灼熱の魂(2010年製作の映画)

4.0

劇作家ワジディ・ムアワッドの戯曲『焼け焦げるたましい』を原作にしたドゥニ・ヴィルヌーヴの出世作

父親と兄に手紙を届けるという話だけど終盤の1+1=1の衝撃は主人公の双子姉弟と同じく開いた口が塞がらな
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インビジブル・ゲスト 悪魔の証明(2016年製作の映画)

3.9

『ロスト・ボディ』のオリオル・パウロ監督が手掛ける密室殺人の謎に迫ったミステリー

どんでん返し系はあれこれ考えず製作陣の思うまま騙されたい派だけれど本作もしっかりやられた

敏腕弁護士のグッドマンと
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スケアクロウ(1973年製作の映画)

4.2

性格が正反対の2人の男が次第に友情を深めていく過程を描いたジーン・ハックマンとアル・パチーノが主演を務めた作品

2人の男が荒地でヒッチハイクを始めるところから始まりピッツバーグで洗車屋をする相棒とな
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野いちご(1957年製作の映画)

4.6

名誉博士号の授与式に車で向かう老教授イーサクの1日を描いた作品で主演は本作が遺作となった「スウェーデン映画の父」ことヴィクトル・シェストレム

現実と回想シーンの描き分けや針のない時計が象徴的で、生き
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チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)

4.3

ゴールドラッシュに沸くアラスカを舞台に飢えと寒さに戦いながら一攫千金を夢見る人々の喜劇を描いている

あまりの飢えに靴を食べたり小屋が猛吹雪で吹き飛ばされ崖に落ちそうになっているクライマックスのシーン
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バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015年製作の映画)

4.8

インドで迷子になってしまった生まれつき声の出せない少女シャヒーダーをインドの男性パワンが国境を越えて両親のもと(パキスタン)に送り届ける様子を描く

このパワンという男はインド神話の神猿「ハヌマーン」
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キッド(1921年製作の映画)

4.4

ひょんなことから捨て子を拾った男の物語であり映画史上初の喜劇と悲劇を効果的に取り入れられた作品

捨て子役を演じたクーガンも映画史上初の子役の1人として知られており「クーガン法」の由来となった人物で映
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.9

2024年4月現在Filmarksの登録者数(ファン数)が唯一50,000人を越えているクリストファー・ノーランのデビュー作でもちろん予算も少ないし演者も彼の大学時代の知り合いということでB級感は若干>>続きを読む

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.5

トリュフォー初の長編映画でありいきなりカンヌの監督賞を受賞した彼の代表作

遊園地?の回転する遊具だったり体育の授業で生徒らがどんどん逃げていく様子を上空から撮る場面だったり終盤の海へ逃亡する長回しな
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

オッペンハイマーがソ連のスパイの濡れ衣を着せられた聴聞会(核分裂)とストロース(濡れ衣を着せた男)の公聴会(核融合)という2部構成になっていてそれぞれが回想シーンで進みかつ登場人物も多いので複雑だった>>続きを読む

ロスト・ボディ(2012年製作の映画)

3.9

スペインの監督・オリオル・パウロが手掛けたサスペンスでラストの衝撃もあり国際的に高い評価を受けてリメイクされてるのも納得

どんでん返し系はいろいろ観てるはずなのに正直これはやられてしまった。いろんな
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.8

ウディ・アレンは自身の作品に自ら主人公を務めるので(最近はほとんどないが)そのナルシスト加減が苦手な監督だけど本作はティモシー・シャラメが主演なので一安心

大学生カップルがNYで週末を過ごそうとする
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

4.2

18世紀のヨーロッパを舞台にした本作はキューブリック作品の中でも特に衣装や撮影が絵画的に美しかった

内容はバリーリンドンの半生を描いたものでぶっちゃけ内容的にはよくある話なんだけど、彼の作品ではお馴
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

特にドゥニ・ヴィルヌーヴの作品はスマホやテレビの小さな画面ではなく映画館で体感すべきだと心底思うほど映像が素晴らしかった

前作以上に砂漠を背景にした遠景ショットが増えていたので内容より撮影を重視する
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ロリータ(1962年製作の映画)

3.5

ロリコンの語源ともなったナボコフの同名小説をキューブリックが映画化

公開当時のヘイズ・コードによって公序良俗に反する表現ができなかったために性的な描写が一切なくこれはテーマの本質を損ねている感は否め
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.1

フランク・ハーバートのSF小説を原作にドゥニ・ヴィルヌーヴが映画化

カラダン、メランジ、アラキス、フレメンと4文字の横文字が多くて途中ややこしくなったのはさておき、圧倒的な砂漠の映像美で本当に惑星で
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スーパーバッド 童貞ウォーズ(2007年製作の映画)

3.8

小学生の頃にペニスの絵ばっかり描いていたセス、好きな子に対し奥手すぎて手が出せないエヴァン、いわゆるナードのフォーゲルの3人が童貞卒業を目指して奮闘する姿を描く

エミネムが「200回近く観た」と公言
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版(1984年製作の映画)

4.9

セルジオ・レオーネの遺作となった本作、4時間近くあるのでなかなか食指が動かなかったけれど完全版をようやく鑑賞

この作品はヌードルスたちの少年時代、青年時代、老人時代という3つの時代で構成されていてか
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クラッシュ(2004年製作の映画)

3.9

第78回アカデミー賞作品賞を受賞したこの作品、登場人物が人種偏見から生じる衝突によって絶妙に絡みあっていく脚本がお見事だった

様々な人種が混じり合うアメリカならではの偏見や銃社会による問題を描いてい
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

2.0

大傑作『タクシードライバー』の脚本を書いたポール・シュレイダーと同作の監督マーティン・スコセッシが総指揮を務めたので期待していたけどはっきり言って映画として面白いものではなかった

主人公のウィリアム
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髪結いの亭主(1990年製作の映画)

3.9

パトリス・ルコントの出世作として知られるこの作品だけどタイトルが髪結いの亭主だからてっきり若い男のヒモの話かと勝手ながら思ってたら中年男性の愛の話だった

アントワーヌが床屋でマチルドと出会って間もな
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サムライ(1967年製作の映画)

4.3

アラン・ドロンが孤高の殺し屋をスタイリッシュに演じきっており、またタイトル通り渋くてハードボイルド的趣の強い作品となっていてお見事だった

全編通して台詞を極限まで少なめにしアンリ・ドカエの優れた撮影
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暗殺の森(1970年製作の映画)

4.8

イタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチが手掛けた代表作なだけに、光や影を巧みに駆使した演出が際立っていて視覚的に面白い作品となっている

主人公のマルチェロが母の家に向かう場面では『第三の男』を髣髴と
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

2.5

2023年のパルムドール受賞作

世間では評判が良いと言われているのに自分には全然良いとは思えない映画ってそこそこあって、残念ながら今作もその一つ。最近のパルムドールどうした??

「これは事故か、自
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.1

昨年4月に北米で公開されていたもののなかなか日本で上映されていなかった本作が遂に観れるということでアリ・アスターの最新作を鑑賞。

優柔不断でいつも何かに怯えている中年男性・ボー・ワッサーマンはある日
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

生涯で3本の長編作品しか撮っていない寡作な映画監督・ビクトル・エリセの4作目で、しかもそれが31年ぶりという驚異的なスパン

劇中劇『別れのまなざし』でフランクを演じたフリオが謎の失踪をする。監督のミ
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処刑人(1999年製作の映画)

3.8

法で裁けぬ悪人を制裁するマクマナス兄弟とそれを追うFBIのスメッカー捜査官を描いている。

スタイリッシュにテンポ良く悪人を殺すマクマナス兄弟、ファミリーに裏切られて途中で仲間に加わるイタリア人・ロッ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.8

2024年始まったばかりだけど今のところ今年一の傑作であり期待以上の面白さで公開初日に鑑賞できて満足した。この狂った世界観好き。

天才外科医によって自分の胎児を脳に移植されて奇跡的に蘇ったベラは肉体
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バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

4.0

カレン・ブリクセンの同名小説を映画化。

19世紀後半、デンマークの辺境の村にひとりのフランス人女性・バベットがやって来る。

彼女はかつてパリのレストランの名シェフで宝くじの当選金を使ってフランス料
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テオレマ(1968年製作の映画)

4.2

イタリアの異才・パゾリーニの作品。タイトルのテオレマはイタリア語で「定理」という意味らしい。

謎の訪問者の青年に魅了され、その存在が消えた後に崩壊してしまうブルジョワ一家の話だけど、魅了のされ方が結
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.7

奇妙なカメラワークやキューブリックみたいな構図とかは好きなんだけど、子供らが麻痺したり、目から血を流したりと奇妙な現象を引き起こすマーティンが結局わからなくてあともう一歩って感じだった。現実は恨んでて>>続きを読む

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