けんこや

デューン 砂の惑星PART2のけんこやのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.3
この映画だけはどうしても映画館に行かなければ…と思いつつなかなか時間が作れなかったのが、どうにか滑り込みセーフ。IMAX鑑賞ではなかったけど、スクリーンに観に行って大・正・解でした。

とにかくスケールが大きい。昨今のSF作品はどれもこれも狂ったようにスケールがでかいのが当然のようになっているけど、それに輪をかけたような途方もない『規模感』に終始圧倒される感じ。
「砂漠」という現実に存在する巨大空間がそう思わせているのかもしれないし、色数や装飾を極端に絞ったような独特の様式美のせいかもしれないけど、この途方もない規模感にどっぷり呑まれてしまった。

で、そのスケールの壮大さに相応しい物語の奥深さと緻密さ、重厚感にどっぷり耽溺。
スケールは大きいけど内容も大味とか、逆に内容は緻密だけどスケールが小規模な作品とかはよくあるけど、両方とも卓越してるのは稀なんじゃないかな。

表向き戦闘してるのは「侵略する側」と「される側」なんだけど、実際にはそれらを含め支配している一層上の権力があり、さらにその影で秩序をコントロールしている闇組織があり…。
主人公の目線も目の前の戦闘に血気盛んに奮い立つというよりも、全世界の命運に向かって選択と決断を問われてゆく感じで、単純なSF冒険活劇ではなく、終始シリアスな「叙事詩」としての品格を損なわない劇調。
なんと言ってもこうしたSF活劇でありながら「笑いの要素」が一切ないのが個人的にツボ。スペースオペラに必ず一人はいたノリノリのお調子者や賑やかし担当の陽キャなど一切も出てこない。まるで「笑ったら殺すぞ」とでも言うような異様な緊迫感。これこれ、これでいいんだよ、ハードSFはそういうものなんだ、こういうのが見たかった!とすっかり興奮してしまいました。


あと、なにせ予備知識ゼロで観に行ったもんだから次々現れるキャストに毎回ニヤリの連続。
初っ端から「あ!ミッドサマーの子だ!(今回で名前覚えた)」と嬉しくなり、ついでクリストファー・ウォーケンが登場した時には涙が出そうになった。よくぞ…よくぞこのキャスティングを成立して下さった…。大ババ役のシャーロット・ランプリング様も堂々ご健在で、お二人が並び立つお姿を見るだけでワクワクが止まらない感じ。さらにアーニャさんは出るわレア様は出るわまるで旬のスターを片っ端から呼びつけたような勢い。


なんだか全編通してとてつもないパワーをぶちかまされたような感触。パート1を見た時にはやや趣味に偏ってる印象を受けたけど今作については全然そんなことなかった。正直、こんなにも真っ向勝負な一大スペクタクルになるとは思ってなかった。
映画館に見に行けて本当によかった〜。


ところで今までリンチもホドロフスキーもあえて見ないようにして新鮮に物語を楽しむようにしてきたんだけど、今、原作を手に取りたくてたまんない…パート3公開まで我慢我慢…。
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