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リコリス・ピザのhikarouchのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
3.1
なんか、劇場で観ないと良さが半減してしまうような映画に立て続けに(配信で)当たってしまってるんですが、これも間違いなくその一つで。例によって、3回くらいに分けて観てしまったので、余計に話に入り込めずに冷めてしまった。

そもそも、「燃ゆる女の肖像」の感想で「恋愛ものは観たくない」と言っていたのになぜこの映画を選んだんだおれは!というほどに、こちらも大変に甘酸っぱくノスタルジーあふれる青春恋愛映画でございました。

70年代の街並みや、当時のモデルの車など、よくここまで作り込んだなと思うほどに、現代映画であることを忘れさせる作り込みが見事。当時の楽曲を多用したサントラも気持ち良いし、世界観に入り込ませる演出は素晴らしい。

ガス欠のトラックをバック運転で爆走とか、青春時代の武勇伝になるような話のオンパレードで、そういうのにエモくなるのがこの映画の正しい楽しみ方なのだろうか。

シネフィルにとっては、色々と文脈が張り巡らされた作品であるらしく、このタイトルの意味すら鑑賞後に知ったぼくのような映画素人には、なかなかに敷居の高さも感じてしまう。

主役のひとりがあの姉妹グループのHAIMの子だ!とか、もう一人がフィリップ・シーモア・ホフマンの息子だ!とかも含めて、作品外の文脈も含めて楽しませるような作品なので、作品単体で楽しもうとする人間にとってはその実力の半分も伝わって来ない。そしてそれを配信で細切れに見ているんだから、おそらく本来の魅力の1/5も受け取れていないんじゃないかな僕は。

そんな僕が、点数をつけて評価なんてチャンチャラおかしいので、この評価は無視してください。(自分の感触という意味では、スコアを残しておきますが。)

ど派手なアクション映画こそ劇場で、みたいな風潮もあるけど、いやはやこういう分かりやすいプロットのない散文的で集中力を要するような映画もまた劇場で観ないと辛いぜ、と思う今日このごろ。
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