EnzoUkai

リコリス・ピザのEnzoUkaiのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
4.5
もうね、ほんとはね4.9位付けたいのよ!
しかし、もうこのところの最高点は4.5だから、4.5にしとく。
つまり最高ってことね!!
(PTA作品は『マグノリア』が4.9で他の作品はもう全て4.5で良いかも)

先ず、『リコリスピザ』って何なの??
映画見終えて、思わず一緒に見てた連れ合いに
「リコリスピザってセリフで言ったかな?英語のセリフにもなかったよね?」
って聞いてしまった。
その上、
「こんなヘンテコな映画、よくも思いつくよな?」
なんてことも。
もちろん、映画の出来映えには満足し過ぎて、全身に多幸感が溢れかえった。
その後はビールを飲みながら、かなりあーだこーだ映画の中身について話した。またそれが至福の時間で、映画の存在意義みたいなものを具現化してくれる映画。
それは、やはり監督の類稀な資質の賜物であり、正に天才の技なのである。

そして、帰宅後パンフレットを読んで、再び愕然とする。
『リコリスピザ』、これほどまでにこの6文字が映画の最初の1秒から最後の1秒までを表現できるものか!、と思える程の説得力。
そして、このヘンテコの話にはれっきとした現実にモチーフがあったという驚き!
そりゃそうだろ、通りでヘンテコの一線を絶妙のバランスで文芸的な質感を保ってるんだもんなぁ。荒唐無稽や支離滅裂を楽しむかのように事実で繋ぎ止めるという、まず常人にはできない神業。
参りました、先生!
としか言えない。

今作もフィルム使った見事な肌触り。こだわり抜いた光量や配色、2022年に生きる我々に、何とも温かい時間を過ごさせてくれる。無論、カメラの構図も本当に良い。ワンカットワンカットが名うてのスチールキャメラマンの個展に飾ってるような図柄でもある。
いつもながらファッションも良いなぁ。
そして、そんなローテクの良さの中に、最新テクノロジーを発揮するのはサウンドトラック。珠玉の名曲たちはこらまた凄いクリアなサウンドで蘇ってる。
Spotifyで聴くサントラの音も、これまた良い。
あー、本当に愛おしい作品。
続けて観たいけど、あっという間に上映が終わってしまう地方の悲しさよ。。。
EnzoUkai

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