いやーいいですねこの濃厚な横溝パロディ感……製薬会社、湖畔、波紋を呼ぶ遺言、軍部と絡んだ麻薬的な薬剤……と、犬神家じゃん！と思わせておいてだんだん「……あれ、これひょっとしたらむしろ八つ墓村（渥美清）の方？」となってくる、あ、そっち！？感とか、なかなか複雑な愛を感じさせてくれますw
てっきり他とは独立したオリジナルな単発作だと思ってたので終盤のスペクタクルな展開は意外でしたが、冒頭のように第6シリーズの延長線上にあると知ればまあ「番外編的なゲゲゲの鬼太郎・劇場版」と思えばそういうもんか……と言えなくもないのかもしれません。
個人的には「大人向けホラー」を謳うのであれば、序盤の雰囲気のような横溝＋京極的な感じを観たかったかな……という気持ちはあるんですが。
（俗物感満々ながらもなんとなく嫌いになれない感じの克典社長とか、他の龍賀家の人々の描写とかももう少し見たかった）
ただ水木の主人公らしからぬ生き汚さや傷跡、所作等で見える「戦争帰り」っぽさを始めとして、全体的に「いちいちディティールを説明したりはしないけど背景を踏まえた描写」へのこだわりが感じられ、時代や人物の雰囲気の醸し出し方の非常に巧みな作品だったように思われました。
