味噌のカツオ

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎の味噌のカツオのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
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「ゲゲゲの鬼太郎」は幼い頃からテレビで見ておりました。
存在感は違えど、ゴジラと同様に ずっと見てきたキャラクターですから。声変わりしようが ネコ娘のスタイルが変わろうが、やっぱり気になるわけで。

これはこれで押さえておかなくては…というスタンスで見に行ったのですが…とんでもない!!
メチャメチャ見応えのある作品でありました。

ざっくりしたイメージでは悪者である妖怪を、正義の鬼太郎が退治するようなプロットをイメージしてしまいますが。
実際のテレビシリーズなんかでも、人間の浅はかな内面や、私利私欲にまみれた行動なんかも描かれていたりして。

もちろんこの作品もそうしたスピリットは内包されていますが。
今作は何よりストーリーが面白くて。ジワジワ引き込まれて、見入ってしまいました。

かつての“Jホラー”ブームもあり、日本の実写ホラームービーなんかも数多く作られていまして。
まぁそれらは“商品”として、いかにもな映像や、ドッキリさせる仕掛け込みでの怖さであるけれど。

今作はアニメでありながら…いや、アニメだからこその(キャラクターデザインも含めて)映像表現が素晴らしいですし。
それらが決して表面上のものではなく、ドラマ性や感情に裏打ちされているので、より伝わってくるものになっています。

時に美しく時に妖しくと言いますか。桜の描写はとても綺麗なんですが、何故あんな色をしているのか…を思うとゾッとさせられてしまうわけで。

また展開として勧善懲悪としてスッキリするわけではなく。一定の犠牲も伴ったりして。
未来を望んだあの子のラストは、さすがに泣けてきましたし。

反面、鬼太郎の父と水木の相棒としてのバトルも結構ハラハラさせられましたし。
墓場から彼がはい出してくるラストシーンも とてもゾクゾクさせられて。

見終わった後の余韻も含めて、ひと言で評するなら見応えありということになるでしょうし。
改めて全体像を思い返すなら「悲しき妖怪たちと愚かな人間どもの物語は、戦争上がりの水木という男に託され。数十年の時を経て、また受け継がれていく」…ということでしょうか。

決して動員は多くないようですが、一人でも多くの人に味わってほしい良作でありました。
味噌のカツオ

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