向いている人:全人類(とくに、「子供向けでしょ?」と思っている人)
前作『飛び出す絵本とひみつのコ』は、個人的にオールタイムベスト作品に入る大、大、大傑作でした。今回、予告が公開されてから、11月公開映画の中でもぶっちぎりで期待していた一本です。
5年に1度の青い大満月の夜、魔法使いが町にやってきて、夢をかなえてくれるという言い伝えがあった。その言い伝えどおり、魔法使いのきょうだい5人が降りて来た! すみっコたちは魔法使いたちのパーティーに招かれて楽しみ、やがて魔法使いたちは帰っていくが、5人きょうだいの末っ子・ふぁいぶが残されてしまった……。
基本的に僕、前作のせいで涙腺がバグっているので、すみっコたちが映るだけでもう泣けてきます。とくに今回、子供連れも多くいる劇場で見たので、「あっ、とかげだよ!」とか、すみっコたちの名前を叫ぶ子供さんもいて、とても良い雰囲気で見ることができました。子供たちが楽しそうにしているところもまた涙を誘います。
今回は、すみっコたちの世界に取り残された見習い魔法使い「ふぁいぶ」と、すみっコたち、とくに「とかげ」が中心になる物語です。ふぁいぶが、魔法を上手く使えないことから大騒動が起こっていきます。
ふぁいぶとの関わりの中で、あるテーマが浮かび上がってきます。傍から見ると叶わない夢を見続けていることは、不幸なことなのか? 夢って何だろう? 確かに、叶わないかもしれないけど、夢があるから生きていけるんじゃないのか?
今を生きるすべての人に向けた、ささやかな、でも優しい解決が待っています。個人的には前作がとにかく素晴らしかったので、「さすがに前作を超えるのは無理だろう」と意図的にハードルを低くして臨みましたが、本作は前作にも迫る素晴らしさでした。僕はクライマックス中泣きどおしで、ほとんどスクリーンが見えませんでした。画面、物語、すみっコたちからあふれ出る優しさに、大いに包まれました。
他にも、「とんかつ」のやさぐれ方とか、箒にうまく乗れない「ぺんぎん?」とか、可愛くて仕方ない場面もたくさんあって、しっかり癒されました。
結論。ただの大傑作です。
子供向けなどと高をくくっているそこのあなた! この11月は、「すみっコぐらし」をぜひ見てください!