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ドライブ・マイ・カーのhikarouchのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.0
うーん。この映画を低評価するの、勇気いるなあ。。。

まだ他の人のレビューとか考察は見てないけど、褒められてるポイントは分かる気がする。

この作品と劇中劇とのリンクとか、妻が語った寓話の中の少女と妻自身の心情のリンクとか、亡くなった娘とドライバーの女性とのリンクとか、主人公夫妻と韓国人コーディネーター夫妻との対比とか、いわゆるメタファーに溢れた作品でありつつも、それらひとつひとつがすべて非常に分かりやすく、話の構造が飲み込みづらいところは皆無。よくここまでまとめたなということで、カンヌ脚本賞。そこには、全然異論はない。ただそれ以外のポイントが、個人的にはしんどかった。

まず、”村上春樹”過ぎる登場人物たちの言動。村上春樹の小説は学生時代に読み漁ったくらいには好きだったけど、それを実写でほぼそのまま(原作は読んでないけど)やられると、相当にイタいと感じてしまった。
まだ前半はほとんど気にならなかったんだけど、終盤に向かうに連れてどんどん春樹が前に出てきた。
「テキストが問いかけてくる」とか、バーの隣の席からあんな会話聞こえてきたら、おれ吹き出しちゃうかも。こういうのは、日本語ネイティブだからこそ気になっていまうところなので、海外では評価されるのは分かる気がする。村上春樹の小説って、英語の会話を翻訳した感じだもんね。同じ会話でも英語ならここまでの違和感はない気がする。日本人はそんなこと言わねーよってのが多いんだよね。(「バーニング」は韓国語だから良かったのかも。)

車のサンルーフからタバコを出すシーンとかも、「はい、この映画のトレードマークシーンやってますよー」「映画史に残る名シーン出ちゃいましたよー」って言われている気がして、嫌な鳥肌が立ってしまった。だって、普通に横の窓から出したら良いじゃん。普通そうするでしょ。

終盤のタクシーでの高槻(岡田将生)のセリフなんかもそうだけど、この映画は多くを語らないように見せつつも、核心をついたことをセリフで言いまくってるんだよね。そこまで言っちゃあオシマイ、というのも、脱力してしまったな。

その高槻自身の顛末も、彼の素行に問題があることは最初から明白なわけで、色々と事を起こしてるのに何も具体的な対処をせずに、結局最悪な事態になってしまったわけでしょ。なんか高槻だけがワルモノみたいになってたけど、現場責任者として家福(西島秀俊)の責任も重いでしょ。「社会人としては失格だ。だが、役者としてはどうかな」みたいな家福のセリフがあったけど、いや役者だろうがなんだろうがダメだし、ってか役者も社会人だしね。かっこつけてる割に、言ってることめちゃくちゃ。

韓国人コーディネーター夫婦のお互いに深く理解しあっている関係性が、主人公夫妻と対称的だというのも、違和感あった。結婚から25年以上経ってなおあんだけセックスしまくってる夫婦が、関係性に問題があった、とか後から言われても、いまいち飲み込めないんだよなあ。これはイチャモンというか、個人の感想に過ぎないけど。

あとはまあとにかく、長いよ。3時間。長過ぎる。もしかしたらこの長さは、おれみたいなライト層を寄せ付けないためのバリアーだったのかも知れないな。だったら、うかつに飛び越えてごめんにょ。

あ、岡田将生が自動車事故起こしたシーンは、笑ったな。おまえ、アクサダイレクト入ってて良かったな、って笑。

思い出したから追記。あれ最後雪深いところに行く時、なんでタイヤにチェーン巻いてないの?さすがに途中で雪用タイヤに履き替えるってことはまずないと思うんだけど。あんな車で、ノーマルタイヤであんなとこ行ったら、絶対に帰ってこれない。(スタッドレスでも四駆じゃないと相当ヤバい。)それがずっと気になって、雪山で立ち往生展開来るのかと身構えちゃったのもノイズだったな。監督はチェーンの雑音が入るのが嫌だったのかもしれないけど、雪国の人とか気になったんじゃないかな?
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