映画ネズミ

バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティの映画ネズミのレビュー・感想・評価

4.0
向いている人:
①ゲーム版をプレイしたことがある人
②未プレイの方は、ゲーム版のプレイ動画くらいは見ておくことをおススメします。

 遅くなりましたが、今年も映画ネズミをよろしくお願いします。

 2022年1回目のレビューは、ついに来ました、ゲーム版に寄せた『バイオハザード』実写版です!

 僕は、小学生の頃初めてプレイしたプレイステーションのゲームが『バイオハザード3』で、シリーズは最新2作を除いてすべてプレイ済みです。ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の実写映画も全部見ましたし、CGアニメ版の映画も見るくらい、バイオハザードが大好きです。だから、本作の製作が決まった時はすごくうれしかったです。

 ところが、北米での興行収入が散々で、ゲーム版『1』と『2』のストーリーを入れ込んでいると聞いて、Z級映画を覚悟して観に行きました。

 結論。面白かったです!

 今回は、完全にゲームやったことがある人向けに振り切った作品になっていますね。少なくともゲーム版『1(リメイク)』『2(リメイク)』『コード:ベロニカ』は、プレイ動画くらいは見ていった方が良いです(どれもボリューミーな作品なので、予習だけで1日かかりそうですが💦)。

 また、後ほど触れますが、設定はかなり変えられています。ここは、ゲームファンでも賛否分かれるところだと思います。

 良かったところから。

 まずは、『2』の舞台となる町ラクーンシティと、『1』の舞台である森の奥にある洋館(スペンサー邸)の雰囲気! これはもうファンなら納得の再現度でしたね。その場所に漂うイヤな感じを、見事に再現してくれていました。初めてプレイした時のことを思い出しましたよ。

 次に、クリーチャーの造形。ゾンビたちも、半ゾンビの時の人間なのかバケモノなのか分からない不気味な感じも良かったですし、『1』のシンボルである「振り向きゾンビ」やゾンビ犬、リメイク版で初登場したリサ・トレヴァーも登場。『2』の難敵リッカーもそっくりですし、今回『2』のあるキャラが登場するので、当然あるクリーチャーも登場します!クリーチャーのビジュアルはゲーム版の雰囲気にかなり近づけていて、見ていてとても楽しかったですね。

 加えて、クリーチャー同士の対決まであったりと、ファンにはたまらない展開もありました。

 そして、ストーリー。『1』と『2』は舞台も違うのに1本の作品にするって、どうするのかなと思ったのですが、2つを文字通り「物理的につなげる(笑)」という力技も、嫌いじゃないです。

 個々の描写としても、トレーラーのおっさんとハンバーガーとか、序盤で出てくるバーは『アウトブレイク』1作目の冒頭に近いですし、隠し扉を開けるためにピアノ弾くところとか、「かゆい うま」とか、警察署のすっからかんの武器庫とか、あの人がいる留置場とか、地下通路とか、拾えるネタがたくさんあって飽きないです。

 ただ、不満もあります。

 まずは、人間キャラの造形。『バイオ』シリーズでは、個性的で魅力的な登場人物がたくさん出てくるのが嬉しいのですが、今回、ゲームと同じ名前のキャラが出ているにもかかわらず、かなり設定や見た目が変更されていて、そこは相当不満がありました。

 クレア&クリスの兄妹は、かなり原作に寄せていて、特にクリスは『1』の頃のクリス(ゴリスになる前のやつ)にピッタリでした。

 でも、ジルはどちらかというと『5』のシェバみたいな見た目ですし、レオンはひげ生えてる髪チリチリのヘタレ、ウェスカーは言われないと分からないくらいの優男になってしまっていて、とても残念でしたね……特にジル推しの僕にとっては、担当した女優さんも好きなだけに、髪型くらい原作に沿ってほしかった気がしました。

 他にも、警察署長のキャラにも大いに不満があります。あの人は『2』やそのリメイク版で忘れがたい存在感を発揮していたキャラなので、今回ものすごく残念でした。リサ・トレヴァーのことは先ほど褒めましたが、そういう役回りってどうよ!?という面もすごく感じます。

 次に、ストーリー。先ほど嫌いじゃないと言いましたが、序盤の盛り上げがすごく良いので退屈はしませんが、本格的にゾンビとの戦いが始まるまでが長すぎます。ゲーム版のネタを拾えるからずっと見続けられるものの、ゲーム版を知らない人は、単に退屈で薄味なお話だなと思ってしまうかもしれません。

 そのせいで、肝心のボス戦がものすご~~~く薄味になってしまっているのはいただけません。そこも、「敵のビジュアルそのまんまだ!」とか、「あの弱点をしっかり狙ってる!」とか、ゲームファンとしては美味しい小ネタも入れてくれているのですが、いかんせんエンディングが近いため「作業感」が強くなってしまっていて、結果としてラスボスの存在感が薄くなってしまっているのは非常に残念でした。

 ボス戦は、ポール・W(私たちの)・S(信頼する)・アンダーソン監督版の方が数段盛り上がりましたね。

 とはいえ、ゲーム版への愛はビシビシ感じてきましたし、ヨハネス・ロバーツ監督の「まとめ力」のおかげでクオリティが上がったのは間違いないです。個人的にはこれまでの映画化作品の中でもかなり上位に入る作品になりました。大きな期待は禁物ですが、ゲーム版がお好きな方は、見て損はないと思います。とにかく見て、あーだこーだ言いましょうよ!

 続編希望です。今度は『コード:ベロニカ』みたいなやつをお願いします!
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