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サン・セバスチャンへ、ようこそのwoosのレビュー・感想・評価

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シネ・リーブル池袋にて字幕版を鑑賞。
2024年新作劇場鑑賞4作目。
客席は6割くらい。
テーマ「壮年期」

[全体として]
私生活の大問題のせいで何かと微妙な気持ちになるウディ・アレン監督だが、本国では2021年に公開された作品らしい。
お話的には映画の広報をやっている妻スーに付き添い、スペインの美食の街サン・セバスチャンで行われる映画祭へ来た主人公モート(小説家)だったが、妻は気鋭の映画監督フィリップに掛かり切りで、どこへ行くにもフィリップを伴いモートをほったらかしにしている。夫婦関係はすでに冷え切っているが、ある日旧友に体調の相談をしたところ地元のジョーという医師を紹介され診察へ出向くと、美しい女性医師だった。みたいな感じの話。

[良かったところ]
モートが見る夢が、ヌーヴェルヴァーグの巨匠監督の映画の一部に本人が入り込んだようなオマージュシーンが多くあり、とてもリッチな作りになっているが、語り口がいつものウディ・アレンの「オシャレで下世話」な感じが出ており、まだまだこの監督は元気なんだなと思った。
また、衣装がとてもおしゃれで、特にモートはまったくイケメンではない典型的なおじさんだが、フレンチカジュアルな感じがとてもよかった。いつもは自分を投影したキャラクターはイケメンでおしゃれでスタイリッシュに描いているのに今回は等身大に描いているのが興味深いし、最後の投げかけも明らかに観客に向けられたものなのだろうが、「別に年取ったけど全然元気だけど何か?」みたいな感じだったので、まだまだウディ・アレンの映画は作られていきそうではあった。

[気になったところ]
多分、もう賞レースなどに引っかかってくることは本人の私生活の問題のせいで、無いだろうと思われるので、好き勝手作った作品という印象。
『市民ケーン』とか『勝手にしやがれ』『突然炎のごとく』などのオマージュというかパロディシーンが多く出てくるが、観たことない人だと何のことかわからないだろう。

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応援はしていませんが、今後も微妙な気持ちになりながらも新作がかかれば走って観に行ってしまうんだろうなぁと思います。
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