EnzoUkai

ベイビー・ブローカーのEnzoUkaiのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.6
笑ろた、どっからどう見ても是枝さんの映画。韓国人スタッフで撮ってるのに韓国映画の質感じゃない。
これ、『チィファの手紙』のところにも書いたけど、やっぱり強烈な作家性は消すに消せない。逆に『流浪の月』でホンギョンピョの撮影について書いたことにも繋がる。一人キャメラマンが海を渡ったところで監督の持つ個性を凌駕するものではない、と。

こりゃ『万引き家族』のセルフリメイクなんじゃないの!って言いたいくらい似通ったテーマと筋書きで、真ん中にやはり擬似家族が据えられてる。
何よりもヤンママ役の子は松岡茉優にしか見えない。
ソンガンホも強烈な個性を発しているものの、どこかリリーフランキーに喋らせても違和感がないようなセリフを吐いてる。
カンドンウォンも池松壮亮っぽくもある。

前作の『真実』を見られず終いになってて、どういう質感の映画になってたのかわからないが、全くの土俵違いで撮影することって並大抵のことじゃないことくらいは容易に想像できる。
結局は物珍しさの方が頭の中で先行してしまって映画単体としての評価がやり辛い。
そもそも個人的には、
西川美和>是枝裕和
なんで、人間描写はやはり彼女を超えてるものとはならなかった。
それは、ソンガンホもカンドンウォンも、彼らが登場した時点で、子供を売るような人間には見えないし、予定調和的に話が収まるものだとただただ安心して見られてしまった、ことに尽きる。
もちろん、グッと来る演出もあるからちょっと泣いてしまった、ことも書き加えておく。
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