針

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースの針のレビュー・感想・評価

4.5
2018年のアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編。前作でスパイダーマンになったマイルスと、同じくスパイダーウーマンのグウェンが平行世界を飛びまわる(いま流行りの?)マルチバース・ヒーローもの。

これはとても面白かったです!
前作のヒーロー誕生を描く王道ストーリーもまぁよかったのですが、個人的にはその裏に回ってさらにメタな展開を見せるこっちのストーリーのほうがずっと好みでした。そこが一番の高評価のゆえん。こちらはこちらで“この手の作品”としてはある意味王道なのですが、そういうことを考える暇もなくただただ勢いに乗って楽しんでしまいました。

ストーリーについてはあまり書きませんが、なるほどこう来たかーという感じ。前作の時点でどこまで続編の構想があったのか分かりませんが、かなり周到だったんだなーと思います。

あとはアニメーションゆえの映像の自在さとアクションの楽しさは相変わらず素晴らしい。並行世界ごとに描画のタッチが大きく変えられていて、個人的にはグウェンが自分の世界で父親と話すシーンの柔らかーい色の感じがすごい好みでした。
あとはマイルスとグウェンが高い建物の縁の下に、座った姿勢で逆さまにぶら下がって寄り添いながら、逆さまになった町を眺めるというシーンがあるのですが、そこもすごく印象的でした。結果的になのでしょうが、糸を噴射して摩天楼を縦横無尽に飛びまわる“スパイダーマン”っていうキャラクターのポテンシャルがすごくて、それがアニメと合わさったことであらゆる種類のアクション(超高速戦闘描写からちょっとしたアイデアによる生活の一コマまで)が可能になってる感じがします。

あとは前作以上に大量のスパイダーマンが登場し(もはや糸を噴射できる生物だったら誰でもスパイダーマンな状態)、大騒ぎしてる感じもまあいいかなと。速射砲みたいなくだらないギャグの連打も楽しい。

ただしこの作品は単品では物語が完結しておらず、すげえいいとこで終わっちゃうのでとにかく続編が観たくてしょうがないです(ほんとは早く観たいけど、高クオリティーのためなら5年くらいなら待ちます)。

2023年の個人的なベスト2映画。
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