針

名探偵コナン ハロウィンの花嫁の針のレビュー・感想・評価

3.8
劇場版第25作。ハロウィンで賑わう渋谷を舞台に、謎の爆弾魔とコナンたちの対決を描く。自分的にはこれも良作で、映画館で観たらもっと楽しかったろうなと思いました。

この映画はTV版の第304話「揺れる警視庁 1200万人の人質」という、これも連続爆弾魔との闘いを描いたスペシャル回の内容を受けて展開されるお話になっているので、最低それだけ観てから視聴するのがおすすめ。(自分もウン十年ぶりに観返したのですが、構成のすばらしい名エピソードだと思いました!)

今回のメインキャラはその「揺れる警視庁」に端を発した2グループで、ひとつは佐藤&高木刑事の「本庁の刑事恋物語」のカップル。もうひとつは安室透&松田陣平を中心とした「警察学校組」。自分はまぁ大昔の知識と後からの付け焼き刃の知識でごっちゃごちゃなのですが、だいたい話は分かりました😁

中身は例によってリアリティ上の無茶(!)はけっこうあるんだけど、内容たっぷりでかなりの満足感があるのと、ミステリー的な細部の響き合いがこまかくてラストまで行くとなるほどねーという感じも強く。
この犯人像によって多少強引に成立させられてるところはありながらも途中の真相の一部にはけっこう唸らされました。それと明らかに伏線仕込んでるなーと分かるシーンがあったのに、どの描写がそれなのかに思い至らず悔しかった……。

爆弾の爆発という迫力あるシーンが最初から用意されてるので、その分無茶なアクション感は比較的押さえられていて、真相とか動機といったミステリーの道具立てで引っ張ってく感じが強かったのが自分好みだったということかなー。
それと松田陣平というキャラでつながってるとはいえ、佐藤高木ペアと警察学校組を一緒くたにしてるわりには構成上の無理は全然ない感じ。特に後者は、スピンオフを観てない自分にも5人がどういう関係だったのかがよく分かる作りになってて、2時間弱の尺なのにちゃんとやってるんだなーと思いました。

○その他
・二色の液体が混合したとたんに爆発する爆弾のデザインがきれい。そして終盤の納得感。燃え上がる炎が一貫して紫色なのもビジュアル的にええですなー。
・爆弾事件は殺伐とした雰囲気になりやすいからか、ギャグシーンが非常に多め。
・安室によるコナンの待遇が完全にVIPのそれ。
・小五郎のおっちゃんが序盤で大活躍するのでなんだろうと思ったら、今回はお休み回だったからなのね……。
・『ひぐらし』の”嘘だ!”とか『遊戯王』のマリク並みの強烈な顔芸……もとい、表情が深く描き込まれた顔のアップが多いのも見もの😠🤪🤑
・全体の構図はちょっと大がかりすぎるけど、自分はこの映画の場合そこまで無しだとは思わず。このへん感覚というのは常にアンフェア⚖️👇⤵️
・ロシア語を解するキャラが多すぎるのにはさすがに苦笑。君らはつくづく超人ですわ……。

『黒鉄の魚影』と『100万ドルの五稜星』はかなり楽しかったけどあれは劇場で観たからなのかなーと思ってたのですが、こちらは家で観てもけっこう良かったので、近年のコナン映画は良作が多いというのは本当なのかもと思いつつあります。理由は結局構成と密度ではないかと思ってるんだけどまだ考え中。

ミステリー的にちょっと思ったところをコメントに。ネタバレ注意です。
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