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境界線
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『境界線』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

3.9
 フランスがナチス・ドイツに攻略され、虚しくも陥落した占領時代。ジュラ地方の小さな村はルー川によって分断されており、その地域では占領下のフランスと自由地帯との間の境界線となっている。ベルリンの壁の前やトランプが作ったメキシコとの国境の前にある壁で無残にも射殺された人々と同様に、ナチス・ドイツの狙撃手はルー川の一瞬の人影に目を光らせている。戦争後の映画として戦争で深手を負った復員兵が故郷に戻る映画は枚挙に暇がないが、フランス人将校ピエール(モーリス・ロネ)は、ナチス兵士によって釈放されたものの、フランス統治化時代にはブルジョワジーの城だった彼の領土はドイツ軍司令部に成り果てている。ここでも本来は安住の地である住み慣れた家はドイツ軍の占領下にある。冗談のように聞こえるが『境界線』というタイトルそのものがクロード・シャブロルにとっては常に侵犯すべきサスペンスの対象となり、物語は動いて行く。ドイツ将校たちの目に映るのは帰還兵の美しき妻メアリー(ジーン・セバーグ)である。

 戦争で負傷したいわゆる不具者のピエールはドイツ兵の前では殆ど成す術もない情けない姿を晒すが、妻のメアリーは元々イギリス人でピエールと一緒になったことでフランスに国籍を変えた人物である。常にBBCのラジオを聴きながら、出兵出来なかった女の欲望は戦争の後方支援であり、ナチス・ドイツへの抵抗に他ならない。クロード・シャブロルの生涯唯一の戦争映画は、彼が生涯描き続けたじりじりとした境界線を巡る攻防の物語である。水面下のスパイ活動の末、ゲシュタポとレジスタンスがのっぴきならないやりとりを繰り広げるのが当時の世界線だとするならば、ナチス・ドイツの抑圧下に置かれたフランスの人々の断末魔の叫びこそが有効であり、『勝手にしやがれ』では60年代のミューズを演じた彼女がここでは何もかもが抑圧され、禁じられたかつてのブルジョワジーの令嬢を悲しく演じる。自身の作家性を捨て、ジルベール・ルノーがレミー大佐というペンネームで書いた回想録『フランス自由と境界線の秘密』を基にした小説の映画化に腐心するシャブロルの変態的な狂気ばかりがクローズ・アップされる、奇妙で歪なオブセッションである。
Uえい

Uえいの感想・評価

3.5
シャブロル監督唯一の戦争映画らしい。ナチス占領下のフランスが舞台で、レジスタンスとそれを支援する住民と、ゲシュタポなどナチス側とのいざこざが描かれる。

舞台になっている村は丁度、ヴィシー政権下の地域と自由地帯の境目になっていて、川が二つの地域を分断し、唯一橋で行き来ができる状態だった。(以降ドイツ側、フランス側と記載)

戦争で負傷したピエール伯爵がドイツ側にやってくる場面から物語が始まり、ドイツ側住民達の姿が描かれる。ここが一枚岩ではなく、フランス側への逃走を手助けする者もあれば、騙してナチスに密告する者もいるのが印象だった。

ある日、レジスタンスのスパイがナチスによって捕えられた。瀕死の状態で入院するが、そこの医者もレジスタンスで、上手く逃すことに成功する。しかし、ナチス側も黙っておらず、スパイを匿う住民達と、追跡するゲシュタポの探り合いが始まる。

ゲシュタポの将校を演じる人の表情など雰囲気が凄すぎた。実物に似せているようなレザーのコートや、小さめの黒い車もマッチしていた。

全体的に群像劇の様で、色々な登場人物の話が語られるが、戦闘シーン等あまり派手さは無く、モノクロなのも相まってこじんまりとした印象だった。少し似たモチーフの「ブラックブック」を思い出してしまったからかもしれない。

最後、橋の上である事件が起きるが、急に住民の中の社会主義者のおじいちゃんが登場し、ナチスの国旗のアップで終わったのが印象的だった。タイトルの様に境界線で白黒はっきりしているわけでは無く、住民も、もしかしたらナチス内も、善も悪も無かったのかもしれない。アーレントがナチス将校の裁判を記録した時の悪の陳腐さという言葉を思い出す。
菩薩

菩薩の感想・評価

3.8
先週の『ジャガーの眼』との落差と言うか柔と剛の使い分けと言うか、シャブロルの幅の広さと器用さをこれでもかと堪能出来た。前半はこれ登場人物多くて苦手なやーつだ…と思い観ていたが、この手のやつはどんどん人がお亡くなりになりスリムになっていくから助かる。後半のスリリングさは流石だし、ゲシュタポが何気に有能でビビる、全部バレとるやん。んでラストがめっちゃカッコいいし、インターナショナルジジイがいい味出してからの国歌→偽りの国旗への寄り。メルヴィルとベッケルの中間みたいな感じ?切るとこない床屋のくだりだけ妙に微笑ましかった。

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