hikarouch

アルプススタンドのはしの方のhikarouchのレビュー・感想・評価

2.0
某アトロクで大評判だった記憶があったので、とても期待して鑑賞。そして落胆。ぼくはこれ全然ダメだった。(この作品好きな人は、気分悪くなると思うので、以下閲覧注意で。)

やりたいこと、言いたいことは理解するし、それ自体には何の文句も無いんだけど、この映画は土台のところのボロがあり過ぎでは。。。
どこぞの高校生の演劇だと思って見れば、それなりに楽しめるのかも知れない。でも映画だと思ってみると、面食らってしまう。

まず見た人に聞きたいんだけど、この舞台って甲子園なの?違うの?
序盤のセリフで、「甲子園まで来て補修受けさせられるとは・・」みたいなセリフがあるから、こう見えて甲子園なのねって思ったんだけど、後半で同じ人物が「野球部だって甲子園目指してる。最初からそれが無理ってわかってるのに」っていう、今は地区予選だ的な発言があって、え、どっちどっち?ってめちゃくちゃ困惑した。そんなことある?
百歩譲って甲子園だとして、でもこれ恐ろしいほどに甲子園に見えない。観客の脳内補完に期待するにも程があるのでは。。
さらに、見ている人、口では暑い暑いって言うけど汗もかかずに全然暑そうじゃない。あと、序盤と中盤以降で、奥に見えてたスタンドが無くなってたりして、ロケ場所も明らかに途中で変わってる。困惑する。

この映画の肝のひとつが、本当はやっていない野球をまるで本当に目の前でやっているかのように見せる、ってことなんじゃないかと思うけど、ぼくには全く野球やってるように見えなかった。打球を目線で追うシーンも、みんなバラバラの場所見ているし。捕球した瞬間も何故か空中を見つめてるし。外野手、舞空術使ったん?しかもラストでそれをストップモーションで見せちゃうんだよね。みんな、どこ見てるのーー?って思って映画が終わった。

それ以外にも、野球部がみんな色白すぎで美白に力を入れている野球部なのかなって思うし、吹奏楽部の部長もトランペット吹いてる時全然指が動いてない。。仮面部長なの?中居くんの口パク的な?
演劇部のふたりの野球知らないトークにしても、さすがに野球がメジャースポーツな日本で生まれ育ってここまで野球のルール知らないってある?というか知らなくてももう少し状況から推し量れるんじゃない?すごく嘘くさい。その割には、四番バッターを「よばん」と野球独自の発音していたりとかで、困惑する。

本当に、野球を全然知らない人が作ってるんだろうけど、そういう問題だけじゃない。こだわりがあまりに足りなくないか。

野球を辞めたという人一倍美白の彼が、絶対的なエースの存在を言い訳にして辞めた理由を語るシーンがある。どんな絶対的なエースがいても、他のピッチャーが全く試合に出る機会がないチームなんてないよ。つまりキミは、エースに負けたんじゃなくて、二番手以下のやつらに負けて尻尾巻いて逃げたんでしょ?カッコつけてんじゃねーよ、と思ったな。

ラストで彼が持っているグローブが左利き用なのとかまで、本当に不自然のオンパレード。ここまで来ると逆にすごいのでは、と思えてくる。そういうの全然気にしない人が作ってるんだろうね。

また、最初に言いたいことはわかると書いたけど、でもこの映画で描かれているほど、高校生って単純で馬鹿なの?この映画は6回から9回までの4イニングの間で起きたことを描いているんだよね。そんな短い時間で、態度がコロッと変わりすぎでしょ。なんか、高校生ナメてない?高校生だって、もっと複雑で、ちゃんと色々考えていると思うよ。横の友達が急にアツいこと言い出したって、コロッと態度なんて変わらんでしょ。しかも全員。ちょっと高校生を、大人が言いたいことを言うために、都合よく子供扱いしすぎなんじゃないかと思った。

そんなことを思いながら、あらためて某宇多丸さんの2020年のベスト10を見たら、この映画入ってなかったわ笑。すっかりベスト3くらいの勢いを感じてたけど、なるほど、そういうことか笑。
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