hikarouch

カセットテープ・ダイアリーズのhikarouchのレビュー・感想・評価

2.9
うーんと、最終的には悪くないと思ったんだけど、途中の展開がちょっとミスリードになってしまい、途中で心が離れちゃった。結構良い評判聞いてたので、期待値上げすぎたかも。

スプリングスティーンの音楽に出会い、自ら人生を切り開く勇気を得た主人公がやることのあれやこれやが、「おいおいお前それは違うだろ」というものが多くて、そしてそれへの批判的な観点が描かれないので、「え、これでいいの?これでいくの?まじで?」と思いながら見てしまった。
例えば、自分の言葉が大事、と小論文の先生に言われているのに、大事な場面ではスプリングスティーンの歌詞を引用してばっかりで、超ダサいこと。(歌詞がダサいのではなく、引用するという行為がダサい。)また、無理を言って雇ってくれた友人の父親の古着屋でバイトを始めたのにすぐ仕事を放ったらかして好きな女に向かって歌い始めてしまうとか。見てるこっちは「仕事ナメんなよ」と思うのに、古着屋の父親も一緒になって歌ってしまうから、「おいおい、、」となってしまった。

クライマックスで主人公の改心が語られ、一応ゆるやかに回収はされるんだけど、だったら前半の描き方はちょっと違うんじゃないかと思ってしまった。

クライマックスにしても、父親の心境の変化も、主人公の心境の変化も、めちゃくちゃ都合よくいくんだけど、そのあたりの葛藤というか、変化の経緯みたいなものはすっ飛ばされてしまうので、ちょっと呆気にとられる。

最後に言ってることは間違ってないけど、なんか素晴らしい傑作って感じではなく、結構モヤモヤした。
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