映画ネズミ

ラストナイト・イン・ソーホーの映画ネズミのレビュー・感想・評価

4.0
向いている人:
①洋画でも、アメリカ以外の風景を見たい人
②夜の街の美しさにあこがれている人
③ダリオ・アルジェント監督が好きな人

 『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』などで知られるエドガー・ライト監督の最新作。今回はホラーだということで、期待して観に行きましたが、かなり良かったです!

 田舎出身のデザイナー志望エロイーズは、服飾学校で学ぶためロンドンにやってくるが、ある日60年代のバーで踊る少女サンドラになった夢を見る。そこから、エロイーズの夢と現実が混乱していく。

 ホラーと言っても、幽霊の顔など不気味な描写はありますが、ホラー度はそれほど高くないです。心配な方は、お友達を誘って見に行ってください。

 本作の特徴は、とにかく美しいロンドンの夜景です。60年代のロンドンの、雨に照らされた明かりやネオンの光がとにかく美しい!

 ネオンの青や赤の光が闇の中に物凄く映えます。この美しい映像の中で、アニャ・テイラー=ジョイやトーマシン・マッケンジーが踊り狂うのを見るだけでも、本作を見る価値があると断言します。

 赤や青の光を使った映像、美女と殺人といえば、イタリアの変態巨匠ダリオ・アルジェント監督を思い起こします。『サスペリア』『サスペリアPart2』で知られていますが、本作はかなり『サスペリア』に影響を受けていた気がしますね。

 ジェームズ・ワン監督の『マリグナント 狂暴な悪夢』も『サスペリアPart2』オマージュだったことを考えると、最近まさかのアルジェントオマージュ祭りがやってきて、個人的には嬉しいです。

 しかし、最終的に浮かび上がるのは、「男性に物として扱われた女性たちの姿とそれへの反抗」でした。でも本作では、エロイーズの同級生の男子生徒ジョンがものすごく思いやりのある子だったり、逆にルームメイトのジョカスタが、男の目を引く女性であることに意識的な人物として登場するので、「男性VS女性」という単純な構図になっていないのが良いですね。

 エドガー・ライトおなじみ、気の利いた音楽の使い方は本作でも健在。主人公の名前にもなっている「エロイーズ」が使われたのはかなり嬉しかったですね!

 個人的には、エドガー・ライトは『ホット・ファズ』がベスト1で、他の作品もそれぞれ好きですが(『ベイビー・ドライバー』も良き!)、本作は『ホット・ファズ』に迫るくらい、個人的にドンピシャの映画でした!

 皆さんの好きなエドガー・ライト映画はなんですか? ぜひ、そのリストに本作も加えてみては!
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