ShuheiTakahashi

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのShuheiTakahashiのレビュー・感想・評価

4.0
長さを感じさせずに見続けてしまう。
ただ終わり方にしっくりこない。
凄くきれいなまとめ方で、観終わった感はある。
ただ綺麗すぎる気もした。
スカっとはしないが、スカっとするのを求めすぎる自分がいる気もする。
このモヤモヤを抱えて生きたほうが糧になる気もする。
スカっとしてしまったら、問題が解決したと勘違いしてしまう。
消費させてはいけない。
そんなことも感じた。

ディカプリオとデ・ニーロの話し方、仕草、全てが完璧。
目から違う。
ディカプリオの笑い方も良かった。
ディカプリオ演じるアーネストは最後まで自己保身だったなあ。
モーリーが道を誤らないでと言ったにもかかわらず、最後まで間違えた。
ラストチャンスだった、薬の中身は何なのかという問いに嘘をつき、インスリンと答えてしまった。
モーリーを演じたリリーグラッドストーンも凄く良かった。
目線だけで表情や感情が伝わる。

それと刑事役のジェシー・プレモンスが好きなので、今回も良き。

醜い欲にまみれた男たちのどうしようもなさ。
アーネストはモーリーを愛していたのか。
モーリーへの愛というより、自分を愛してほしくて、というのが強い気がした。
誰からも嫌われたくないみたいな。
主人公がアーネストだったから、よりすっきりしないモヤモヤが残る。
モーリーのことが大切なんじゃないかとか思わせる部分はあるが、なんか違和感がつきまとう。
やっていることはずっと非道い。
終始クズ。
それでも観てしまうのは構成がうまいからなのか。
最後の最後まで観てしまった。

デ・ニーロ演じるヘイルはとことん金、どこまでも金。
何に使うわけでなく、金への執着が凄い。
際限なさが怖かった。
それをあまり表に出しすぎずに見せる演技の素晴らしさ。

最終的にヘイルもアーネストも捕まってはいるが釈放されているし、なんだかなあ。
でもこのなんだかなあが現在もずっと続いているんだよなあ。
この違和感をずっと持ち続けたい。
ShuheiTakahashi

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