向いている人:
①ミュージカル「映画」が好きな人
②「スピルバーグがミュージカル!?」と気になった人
見てきましたー!
いや~「映画」でした。
僕のレビューを見てくださっている方は、僕は「ミュージカル映画が苦手」ということはご存じかと思います。
退屈したらどうしよう……?と思いながらも、「監督:スピルバーグ」と聞いて、即鑑賞を決断しました。
物語は、古典「ロミオとジュリエット」をモチーフに、2つの集団それぞれに属する男女が惹かれ合い、恋に落ちる物語を描いていきます。物語はものすごく古典的。しかも、本作は大ヒットミュージカルですし、1961年の『ウエスト・サイド物語』のリメイクでもあるので、曲が新鮮!ということもありません。
おなじみの物語、おなじみの曲を楽しみに行く作品です。
僕は『ウエスト・サイド物語』を最近見て、「ミュージカル映画の中では好き」な作品でした。曲が魅力的なのはもとより、きちんと骨太なストーリー(ロマンス)があって、「歌を歌ったら何か問題が解決している」ということがあまりないからだと思います。
それでも、本作は「映画」なんですよ!
撮影監督ヤヌス・カミンスキーによる、色褪せた映像をベースに、光と影が交錯し、鮮やかなドレスやジャケットの色が差し込まれます。激しいダンスを勢いの良いカメラワークで見せてくれて、「舞台」的な見せ方に終始しないので、ものすごく画面に引き込まれます。
特に圧巻なのは、ダンスパーティーの中で踊られる「マンボ!」、ストリートを勢いよく駆け抜ける「アメリカ」、警察署でふざけまくる「クリプキ巡査殿」でしたね。本当に楽しかったです。
でも、僕が真に引き込まれたのは、これが「今の映画」になっていたということです。
舞台となる町は再開発のために取り壊しが進んでいるという設定。居場所を失くしてしまう人々の切なさ、2つの不良グループに象徴される、人種・境遇など様々な理由による「分断」と「対立」。
今の世界も、新型コロナウィルスの脅威もあり、ますますナショナリズムが高まり、「自分たちか、それ以外か」という発想になりがちな時代です。
それをどうやって乗り越えるか。どうやって「橋を架ける=分かり合える」のか。『未知との遭遇』から『ブリッジ・オブ・スパイ』に至るまで、「架け橋になる」ことの大切さを描き続けてきたスピルバーグだからこその物語になっていて、とても感動しました。
アカデミー賞作品賞にノミネートされただけでなく、今だからこそ見ていただきたい作品です。オリジナルの『ウエスト・サイド物語』を予習しているとさらに楽しめると思いますが、予習なしでもこの感動は味わっていただけると思います。
すごいものが見れるのは間違いないと思うので、皆さん、コロナが厳しい状況ですが、感染防止に気を付けながら、今、劇場で目撃してください!