hikarouch

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのhikarouchのレビュー・感想・評価

4.0
過去作を見直して、ドキュメンタリーも見て、アゲられるだけアゲた状態で祭りに臨んだ。そして、なんか凹んだ笑。

この副題にやられたね。
カジノ・ロワイヤル、クォンタム・オブ・ソレイス、スカイフォール、スペクター、これらの副題は、舞台/相手組織と、内容とのやんわりとしたダブルミーニングになっていた。でも今作の副題ノータイムトゥーダイは?そんな場所も組織もないぜ?これまでの小洒落た副題の系譜を投げ捨ててまで、このタイトルをつけたかった作り手の意図とは何か?とか考えると、この結末も予想できたかもしれない。そうでないと、この副題にまんまとやられることになると思う。そう、ぼくのようにね!!

アバンタイトルからタイトルクレジットが毎回の楽しみなんだけど、今回はここもちょっと裏をかかれて良かった。いつくるか、いつくるか、そこかあああ!!からの、アイリッシューー!!
その後も、今作も前半が非常に良かった。キューバでのスペクターのパーティへの潜入からの、パロマとのコンビネーションプレー。戦闘中の合間にバーカウンターで乾杯したりと、あり得ないケレン味が007らしくて、楽しかった。なにより、パロマを演じたアナ・デ・アルマスは、ブレードランナーやナイブスアウトも最高だったが、史上最高のアルマスを更新したのでは。予告編から、もっと出番が多いと思っていたので、後半はずっとアルマス待ちしてしまった。もっと見たかったよ。。。

後から考えると、CIAのフィリックスが結構諸悪の根源というか、諸々の悲劇のきっかけになってるんだよね。彼のせいでロシアの科学者がサフィンの組織に奪われ、なんだかんだあってマドレーヌやマチルドを奪われてるんだから。なんか、これまでもボンドと一緒に数々の修羅場をくぐり抜けてきたバディ、的な描かれ方をしてたけど、そうだったっけ??なんか唐突だ。カジノ・ロワイヤルで有り金全部スッちゃったボンドに、最後のコインを恵んでくれたくらいじゃないの?ボンドを助けてくれたのって。

悪役のサフィンは、ただのイカレサイコというだけでなく、悲しくて同情できる過去があるから、複雑味をもったキャラクターになっていて良かった。だから彼の最後は、なんか可哀相だった。彼は、結局マドレーヌやマチルドを傷つけることはなかったわけだしね。
ただこれはこの映画に限った話じゃないけど、個人的な趣味の問題として、悪役が自分の思想を語るシーンがめちゃくちゃ退屈で眠くなる。サノスみたいに分かりやすく説得力があるならまだしも、めちゃくちゃ抽象的かつ自己正当化にしか聞こえないやつは、ダルすぎるよ。なんかこのあたり、後半は間延びというか、上映時間も2時間超えて、ダレて来ちゃったな。ぼくが。

ヘラクレスってDNAレベルで作用する毒の機能が、最後までよくわからなかった。まずキューバのパーティでスペクターにだけ効果がある毒ってどういうこと?特定の個人ならわかるけど、スペクター特有のDNA配列なんてないっしょ。あとあの片目の人には効かなかったのは、彼はスペクターじゃないから?なのにブロフェルドの指示で動いていた?実はサフィンがスペクターに仕込んだスパイだったのか?
ブロフェルドに毒が効いたのは、彼がスペクターだから?あ、クライマックスにボンドを悩ませた理屈は、マドレーヌとマチルドにもスペクターのDNAが入ってるってことか!だからスペクター特有のDNA配列ってなんやねん!!

見た直後で、まだ色々頭の中整理できてないけど、とにかくこの祭りにちゃんと乗れたのはやっぱり楽しかった。そして、思った以上に凹んでしまったのも、ちゃんと祭りに参加できたからだから、やっぱり良かったです!おしまい。
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