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サンキュー・スモーキングのmerrydeerのレビュー・感想・評価

サンキュー・スモーキング(2006年製作の映画)
3.9
嫌煙派の声が高まるアメリカで喫煙者の権利を守るために奮闘するタバコ研究所の広報部長が主人公の社会派コメディ!
…ではありつつ、タバコの健康被害云々はあくまで物語を展開するためのフックであり、煙草に引っ掛けた黒過ぎるユーモア、超軽快に駆け抜ける作品そのもののテンポ感、達者な弁とどこか狂ってて、ナチュラルクズでそれでも憎めないアーロン・エッカート演じる主人公ニック・ネイラーのキャラクターとしての魅力こそが本作の真骨頂のように思います。

主人公が窮地に立たされる場面等もそこを必要以上にシリアスに描く事はなく、物語を覆うトーンが基本シニカルで終始どこか戯けた雰囲気なのが軽快な勢いに拍車をかけてる感じで観賞後には爽快感をも覚えました。
J・K・シモンズを始め、脇を固めるキャラクターの濃さとそれに応える役者陣の演技も素敵。

ほんのりと観賞者を勇気付ける前向きなメッセージもありますが、それ以上に色々と不謹慎ではあります。笑
ブラックユーモア斯くあるべしという矜持すら感じる痛快な一作でした。
ジュノの前にこんな傑作を既に生み出していたというジェイソン・ライトマン監督の手腕にも改めて舌を巻きます。
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