風ノ助

テオレマの風ノ助のレビュー・感想・評価

テオレマ(1968年製作の映画)
4.0
いつの間にかするりと家に入り込んできた青年の性的魅力に取り憑かれ次々と体の関係を持ってしまうブルジョワ一家
彼が去った後一家は崩壊する

本人が何もしなくても関わった人の闇の部分が炙り出され破滅していくのは悪魔の仕業のようだし存在が尊すぎて己の闇の部分が浮き彫りになったのだとしたら聖人なのかも
とか色々考えてたらパゾリーニ自身が「彼は旧約聖書の人物」と言っていました
彼は神の摂理を伝える預言者のようですが摂理は我々に本当に正しく届いているのかという皮肉を描いているのかなと思いました

同じく体の関係を持った家政婦はブルジョワ一家と違ってキリストのように奇跡を起こしていきます
屋根の上に浮いてるところは笑いました
これは都合よく奇跡を利用したカトリック総本山への皮肉なのかなと思いました

所有欲がなくなり持ってるもの全て捨てて裸になった元ブルジョワは何者でもなくなり荒野で叫ぶ、よくわからないです

股間をアップで撮ったりと性的描写もパゾリーニの趣味全開でした、ヘンな映画でおもしろかったです
風ノ助

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