炭酸煎餅

THE BATMAN-ザ・バットマンーの炭酸煎餅のレビュー・感想・評価

4.8
超・長い!
けどめっちゃ面白かった……!

バートン版シリーズを痛快なコミック・ヒーロー、ノーラン版はハードさを追求した重厚なダークヒーローものとすれば、本作の作風はノーラン版からさらに"闇"を煮込んで煮込んで煮詰めまくった、まさにバットマン映画の「リアルの極北」。
バットマンはクライム・ファイター(自警団)としての側面が強調されておりバットスーツを始めとした装備の"スーパーヒーロー"感はかなり薄めで、登場するお馴染みの悪役たちも怪人(スーパーヴィラン)ではなく見た目からして現実的な犯罪者となっていて、そんなバットマンとゴードン警部補のコンビが劇場犯罪型シリアルキラーであるリドラーを追う、というクライム・サスペンス映画として仕上がっています。(バットマンがマント着けてるのがこの世界の中でマジで浮いて見えるくらい)
ブルース・ウェインのキャラクターも過去イチに陰鬱で湿度の高い造形になっており、演じるロバート・パティンソンの、マッツ・ミケルセンの線をさらに細くしてさらに耽美にしたような現代ヴァンパイア的ルックスも相まって(とか思ってたらこの人「トワイライト」シリーズの人と知って超納得w)、いかにも繊細そうで思い詰めがちな人物像を描き出していたように感じられました。

作品シリーズとしての関連はもちろん無いのですが、ある意味ホアキン・フェニックスの「ジョーカー」と対になるような、「近いコンセプトで描かれたブルース・ウェイン版の物語」を感じさせる映画になっていたのではないでしょうか。

ところで。
最後に「あいつ」がちょっと出てきて続編が示唆されていましたけれども(あとあの子が今後ロビンになったりする?とか)……個人的にはこの作品、本作ですごく綺麗に終わっているような気がするので正直このクライムサスペンス仕立てからの続編って蛇足というか同工異曲にならないのかなあ……という感じがしたんですが……どうなるんでしょうね……。
炭酸煎餅

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