フライ

太陽の下で 真実の北朝鮮のフライのレビュー・感想・評価

太陽の下で 真実の北朝鮮(2015年製作の映画)
3.8
北朝鮮が描いた台本により、北朝鮮が素晴らしい国である事をごく自然に進めていくのを前提に取られたドキュメンタリーは、密かに裏側迄カメラを回しハリボテ国家である事を暴露したドキュメンタリー。
簡単に言うと北朝鮮のヤラセをバラしているドキュメンタリー!

将来を嘱望されるリ・ジミンと言う8歳の女の子と両親を中心に、亡き金日成の誕生日を祝う太陽節での祝典に向け、リ・ジミンの少年団と言う組織の入団や色々な出来事をドキュメンタリーとして、製作陣の見張り役が演出しそのヤラセを隠し撮りされたドキュメンタリーなのだが…

リ・ジミンの通う学校では、亡き金日成の作られた偉大な行為と、反日、反米、反韓教育を朗読させられるのだが、正直聞くに耐えないものが。8歳の女の子達が、「日本人は悪で追い払う」など口汚い言葉を朗読し、正に洗脳されて行く姿は、もしも自分の子供がこんな言葉を口にしていたらと考えただけで恐怖を感じたし、未来を閉ざしているとも思えるだけに怒りや悲しみを覚えた。
なんと言っても見張り役兼ドキュメンタリーを演出する男性の滑稽な姿には、苦笑いを通り越し爆笑してしまった。馬鹿馬鹿しい茶番劇を何回もやり直し、周りの一般市民の呆れた表情や、子供達の眠そうな顔に、自分がニュースなどで知っている北朝鮮人の規律正しく、厳格な行動とはかけ離れた姿に、ある意味安心感をおぼえたし、笑ってしまった。もしもこの映像を、見張り役の人達が見たらと考えると一層笑いが込み上げてくるものが。ただ、幼いリ・ジミンが強要され涙しながら必死にダンスをしたり、金正恩を称える言葉を発表する姿は、とても胸が痛んだ。特にラストの彼女の悲しすぎる言葉に思わず号泣してしまったし、笑っていた自分に嫌悪してしまった。

正直、一歩間違えたら殺されてもおかしくない隠し撮りの数々に、製作陣に賞賛を送りたくなったが、同時に、北朝鮮の歪んだ姿と子供達の悲しい現実を目の当たりにし、とても辛くなった。決して派手な内容では無いが、ベールに包まれた北朝鮮の生々しい姿を見れるのはとても新鮮で、見応えを感じた。
フライ

フライ