フライ

ダークスカイズのフライのレビュー・感想・評価

ダークスカイズ(2013年製作の映画)
3.8
スコア低いのは理解出来なくも無いが、救いようのないホラーは、観ていてゾクゾクするから個人的には結構好き。何よりストーリーがしっかりと構成されているので、中々楽しめた。

'宇宙に存在するのは、我々だけなのか それもと違うのか…そのどちらも恐ろしい'と言うアーサー・C・クラークの言葉から始まる
大きな庭が有り、素敵な家が建ち並ぶ閑静な普通の住宅街。そんな地域で生活するバレット家は、建築設計士でリストラされた父ダニエルと、不動産会社に務める母レイシー、長男のジェシーと次男のサミー4人で暮らしていた。
ダニエルは、息子のジェシーが年上の友人ラトナーと仲良くするのを快く思っておらず、ラトナーに偏見まで抱いていた。ジェシーはジェシーで、ラトナーの家でポルノビデオを鑑賞し歪んだ知識を。
ジェシーと幼い弟サミーは、個別に部屋を与えられていたが、寝る前に無線でジェシーがサミーに怖い話をするのが日課になっていた。その内容は、人間の目を奪い月に居る子供に食べさせるサンドマンと言う怪物の話だが、サミーが'自分の目も食べられるか'とジェシーに聞くと、ジェシーは'大きな目の自分が先でその次だ'と答えサミーを怖がらせていた。その夜母親のレイシーは真夜中に目を覚まし、子供の様子を確認すると、キッチンに向かう。すると冷蔵庫は開き食べ物や飲み物が散らかされ窓は開いおり、周囲を見渡すが何もおらず、レイシーは恐怖におののく。
早朝、不審な出来事は動物の仕業とスルー。その日ダニエルは、再就職の面接に行くが上手くいかず、住宅ローンも3ヶ月滞納し、自宅の警備システムも解約していたが、レイシーには面接が上手く行ったと嘘を。その夜レイシーは、何かに気付きキッチンに行くと、あらゆる物がバランス良く天井迄積まれ照明を付けると、天井に不思議な幾何学模様が映し出されていた。そこにサミーが、'怖い夢を見た'と現れ、レイシーは、ふと誰がやったのかサミーに訪ねると、'サンドマンが自分の部屋に来る前にやった'と返答。
翌日警察に相談するが、返って来た言葉は、夢遊病による子供の仕業なのではと言う救いようの無い返答と、警備会社を再開した方が良いと言う、誰でも分かる助言だった。
その後バレット家は、周囲から奇異な目で見られ始め、家の中では常識では考えられない不審な出来事が頻発し、家族全員身体不調まで発症して行くのだが…

説明がつかない出来事を題材にしたホラーは、如何に辻褄を合わせ構成するかが大切だが、アメリカの年間凄まじい数の行方不明者が存在すると言う事実や近年ニュースにもなったアメリカ政府も認めた出来事など、本作を楽しめるだけの要素は有るだけにとても興味深く楽しめた。さらにベタとはいえ周囲から信用されなくなってしまう恐怖を、父親を上手く利用し描かれていて一層楽しめた。
何よりホラー特有の在り来りな驚かせ効果音では無く、自然音で驚かせるのがとても良かった。家の警報音や鳥の衝突音、サミーの叫び声など、背景に不気味な音を小さく流しながらの自然音が上手く生きているのがとても恐怖を煽っていて良かった。
ラストのプチどんでん返しも、伏線回収が上手く生きていて良かったし、J・K・シモンズ登場シーンからの畳み掛ける恐怖は、冒頭で分かっていたとはいえ鳥肌が。キャスティングも良かったが、男の子サミーが秀逸で、遠くを見る表情の不気味さが最高だった。
ストーリーもしっかりと構成されていてかなり楽しめた。夢と現実を混乱させたり、家族愛と無慈悲な展開、恐怖の出来事を誰にも言えないと言う演出など、恐怖を煽り立てているのが作品としてかなり面白さを感じた。
少ないながらもJ・K・シモンズのセリフが滅茶苦茶良くて、一々心に刺さった。良く考えたら人間も同じ事やってるなと変な想像迄…。

心霊系ホラーを期待してみると梯子を外されるので注意。毛色は違うが、パラノーマル・アクティビティ好きなら結構楽しめるかも。
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