リトル・メンを配信している動画配信サービス

『リトル・メン』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

リトル・メン
動画配信は2024年4月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『リトル・メン』に投稿された感想・評価

emily

emilyの感想・評価

3.9
亡くなった祖母が残した建物に引っ越してきたジェイク少年と家族。1階で洋服店を営んでる一家の息子トニーとジェイクは意気投合して友達になる。しかし貸店舗問題で親たちはもめており、不穏な空気が漂っている・・

二人の少年たちは透明感を自然にまとっており、キラキラしていて、二度と訪れない”今”を生きてる描写が美しい。自然な動きのある表情の数々をしっかりとらえられており、映画上だけでなく、二人は本当に良い出会いを果たして友情をはぐくんだのではないかと思わせる、とにかく自然に溢れる表情や空気感がしっかり収められている。

子供と親のコントラスト、理不尽な大人の事情の犠牲になってしまう子供質。両方の親の立場や状況の描写がしっかりなされており、絶妙な空気感にジェイクの俳優の父の言葉の数々が良いスパイスとして響き渡る。

少年たちの何気ない日々を捉えたショットがまるで永遠の宝物のように、印象的に残る。特にストリートを二人がローラーブレードなどに乗って走ってる姿を、車越しに道の向こう側から捉えているシーンが美しい。車越しにとらえることで、その風を感じそうなスピード感が伝わり、くるくる景色が変わり、大きく広がる二人の未来を映し出しているようだ。何気ないシーン、何気ない日々が永遠になる。

誰にでもあった子供の頃の思い出。今は貴重な宝物になっている。出会いや別れを繰り返し、子供の頃の純粋な気持ちも、大人の事情と共に徐々に忘れていく。こうゆう作品を見ると、あの頃のあの気持ち、胸の奥に眠ってる気持ちをかきだされる気分になる。そうしてその気持ちは決して忘れてはいけないものだったと、思い出させてくれるのだ。
[大人に抗えなかった少年期の友情について] 80点

カンヌ国際映画祭予習企画第ニ弾。アイラ・サックスの3年ぶりの最新作『Frankie』で初コンペ入りということで、現時点で手に入る最新作が本作品。東京国際映画祭のユース部門で上映されたようだが、結局一般公開はされず、配信やソフト化もされていない。

祖父が亡くなり、両親とジェイクはブルックリンの祖父の家に引っ越してくる。一階は貸店舗となっており、移民の母子が店を出していた。子供同士は人種や陽キャ陰キャの垣根を超えすぐに仲良くなる。彼らの友情は崇高で美しいのだが、大人たちの事情によって引き裂かれていく。85分という短尺ながらも、この自然で壊れやすい友情物語をここまでリアルに綴っているのは好印象。親に反発して全く口を利かなくなった子どもたちに対して、ジェイクの父親ブライアンが"おめえら、自分たちのことしか考えてないのか!?"とブチギレるシーンがなんとも切ない。そうじゃないんだよ、知ってると思うけどって感じ。

一時はボーイフレンドとまで言われた親友同士も、ラストでは連絡も途絶えて超えられない壁を隔てて見つめるしかなくなってしまう。どうにかならなかったもんなのかと思いつつ、前に進む二人を眺めているしかない。
爽やかで微笑ましい映像にのせ子供の友情がテーマと見せかけて大人の生きづらさを描くめっちゃ深い隠れた名作。大人になって生じる面倒事はいろいろあると思いますが、今作では比較的現代に特有な問題として格差社会におけるコミュニケーションの断絶、時代を超えた普遍的な問題として恋愛関係を取り上げています。

ネタバレも何もあったもんじゃなくて、この映画のプロットは「親同士のトラブルで邪魔される子供の友情」の一言です。トラブルの概要ですが、ジェイク君の祖父は所有する不動産の1階を不倫関係にあったトニー君の母レオノールにタダ同然で貸していて、祖父の死後にジェイク父ブライアンが一般的なテナント料よりは格段に安くするのでこれくらい払ってもらえませんでしょうかと相談に行ったところ、レオノールが「私はあんたより愛されていた」とかひたすら嫌味を言って一切応じず交渉にもならないというものです。

ジェイク君のジャーディン家は上の下、トニー君のガルシア家が中の下といったところで格差は多少あるが最初は互いに友好的です。で、トラブルにおいて不合理な態度をとっているのはレオノール。ブライアンの態度は全く強硬でなく交渉に応じる準備があり、これくらいだったら払えるとか次の場所を見つけるまで何カ月待ってほしいとかやりようはいくらでもあったはず。が、レオノールはただただブライアンに嫌味を言って、払えないと言いながらなぜか店では新たに人を雇うは... 話にならず最後は弁護士を通せとぶった切り、結局即立ち退きになります。

格差の下側の人間が馬鹿げた行動をとり、それをみて上側の人間が見下し断絶する。でもこれは下側にいるレオノールが何も馬鹿なのでは決してなく、生存本能として人間の脳がそういう風に作られています。つまり格差の下側にいて余裕がなくなると、人間の本能としてとにかく今日を生きのびないといけないから、あるかどうかもわからない明日以降のことを考えて計算し合理的に考える意味はなくなり、今がよくなることだけを考えようという思考回路になります。低所得者に不健康な食生活や喫煙者、無駄遣いが多いのはいい例です(TVゲームに関するエピソードもここを意識しているのは間違いない)。この映画ではレオノールが後々の強制立ち退きのリスクを考えず、とりあえず嫌味を言ってその場だけすっきりする。こういった思考・行動は、状況に適応し生存するための人間"全員"の特性であり上流の人ももちろん余裕を失えばそうなります。が、そこに気づかないので上流は下流を話にならないと馬鹿にし、ジャーディン家とガルシア家のコミュニケーションは断絶してしまいます。これが今話題の「社会の分断」です。終盤で事情を知ったジェイクが立ち退きを避けるように両親に勢いよく訴え始めたものの、すぐに抵抗をやめ父ブライアンと抱き合います。言葉にしたことで大人の階段昇る13歳のジェイクも大人の事情・ブライアンの立場を理解したのでしょう。

もう一つは恋愛・婚姻。トラブルの本を正せば、夫がいるレオノールがジェイク君祖父と不倫関係にあってテナント料の免除がなされていたことです。両親は別居しトニー君は父親にほとんど会えません。ところで思春期前のジェイク、トニーの関係は純粋に友情であり恋愛ではない。にも拘わらず時に間接的に(ジェイクが見つめる先生のズボンの膨らみetc.)、時に直接的に(トニーとの女の子についての会話etc.)、本人の自覚はこの時点でないでしょうがジェイクがゲイであることが異様にしつこく示唆されているのは重要な点です。おそらく高校生1年生(日本でいうと中3)になったと思われるラストでは、ジェイクの風貌はいかにもという感じに変化しています。トニーはそうではないので、親同士のトラブルがなかったとしても思春期を迎えたこの時点で二人の関係はジェイクの恋愛感情によって破綻することが想定され、この問題についても既にジェイクは大人側へと移行していることが暗示されます。大人にとって恋愛・婚姻が何かとトラブルの元になるのは今も昔も一緒ですネ。

子供って立場が違ってもすぐ仲良くするけど、悲しいことに大人になると難しい。ジェイク、トニーも13歳で、そんな大人フェーズに足を踏み入れかけているところが一層この映画のテーマを際立てています。でも今作を通してどこに問題あるのか焦点をあてて考えると、少しヒントがみえてくるかもしれません。ジャンルをキッズに分類しているものもありますが、完全に大人の映画でした。

『リトル・メン』に似ている作品

CLOSE/クロース

上映日:

2023年07月14日

製作国:

上映時間:

104分

ジャンル:

配給:

  • クロックワークス
  • STAR CHANNEL MOVIES
4.0

あらすじ

花き農家の息子のレオと幼馴染のレミ。昼は花畑や田園を走り回り、夜は寄り添って寝そべる。24時間365日ともに時間を過ごしてきた2人は親友以上で兄弟のような関係だった。13歳になる2人は同じ…

>>続きを読む

WEEKEND ウィークエンド

上映日:

2019年09月27日

製作国:

上映時間:

97分

配給:

  • 東宝東和
3.7

あらすじ

金曜の夜、友人たちとのパーティのあと、ラッセルは一夜の相手を求めてクラブに立ち寄る。閉店時間近くに目を付けていたグレンを誘い出すことに成功し、彼と共に帰宅。そして、週末が始まる―。ライフガ…

>>続きを読む

BOYS/ボーイズ

上映日:

2020年01月17日

製作国:

上映時間:

78分

ジャンル:

3.7

あらすじ

陸上部に所属するシーヘルは、チャンピオンシップ大会に向けて結成された強化チームに選ばれ、同じく選手として選ばれた自由快活で爽やかな少年マークと出会う。ある日、練習の後、チームメイトと泳ぎに…

>>続きを読む