KnightsofOdessa

リトル・メンのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

リトル・メン(2016年製作の映画)
4.0
[大人に抗えなかった少年期の友情について] 80点

カンヌ国際映画祭予習企画第ニ弾。アイラ・サックスの3年ぶりの最新作『Frankie』で初コンペ入りということで、現時点で手に入る最新作が本作品。東京国際映画祭のユース部門で上映されたようだが、結局一般公開はされず、配信やソフト化もされていない。

祖父が亡くなり、両親とジェイクはブルックリンの祖父の家に引っ越してくる。一階は貸店舗となっており、移民の母子が店を出していた。子供同士は人種や陽キャ陰キャの垣根を超えすぐに仲良くなる。彼らの友情は崇高で美しいのだが、大人たちの事情によって引き裂かれていく。85分という短尺ながらも、この自然で壊れやすい友情物語をここまでリアルに綴っているのは好印象。親に反発して全く口を利かなくなった子どもたちに対して、ジェイクの父親ブライアンが"おめえら、自分たちのことしか考えてないのか!?"とブチギレるシーンがなんとも切ない。そうじゃないんだよ、知ってると思うけどって感じ。

一時はボーイフレンドとまで言われた親友同士も、ラストでは連絡も途絶えて超えられない壁を隔てて見つめるしかなくなってしまう。どうにかならなかったもんなのかと思いつつ、前に進む二人を眺めているしかない。
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