KnightsofOdessa

パリでかくれんぼのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

パリでかくれんぼ(1995年製作の映画)
4.9
[] 99点

大傑作。ジャック・リヴェット長編15作目。英題は"Up, Down, Fragile"であり、本来の意味としては引越荷物に貼る"天地無用&割物注意"のことだが、登場する三人の主人公の属性を指しているのだろう。犯罪から足を洗ったニノン、5年間昏睡状態だったルイーズ、生みの母親を探すイダは、その三つの状態を流動的に行き来している。そこに歌と踊りが加わることで新たな言語を獲得した彼女たちは、それを存分に駆使して自分が持っていない/知らない新たな世界を探り始める。特に昏睡状態が長かったルイーズの、手足が長過ぎるが故に末端までコントロールが行き届かないような行動の数々、中盤マルト叔母邸宅での二人のダンスにおけるダンスの変化や終盤のバックステージでのダンスにおける途中停止などダンス関連の身体の躍動、及び拳銃や薔薇の花束の見事な扱い、終盤の紙束を上手く破れない感じなどが上手く表現されていた。ルイーズのぎこちなさに対して、軟体動物レベルで動き続けるニノンの滑らかさ(ローラースケート!)も素晴らしい。あと、ニノンちゃんがビュル・オジェすぎる。多分だけど、ニノンちゃんの丈の短すぎるトップスは、ビュル・オジェにそういう格好をさせたかったけど事務所NGで出来なかったから今回似た若手女優にやってみたという感じなのでは…と邪推するなどした。
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