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ウィンダミア夫人の扇のodyssのレビュー・感想・評価

ウィンダミア夫人の扇(1925年製作の映画)
4.0
【サイレントならではの楽しみ】

サイレント映画らしく、各登場人物の表情や動作が豊かで、見る楽しみがぎっしり詰まった作りとなっている。ただし、そうは言っても話し言葉が欠けているので、同じ場所で同じ登場人物だけで動きが少ないシーンが長々続くと、ちょっと退屈するところもないではない。

しかし特に後半の筋書きはスリリングだし、映画的な趣向に富む展開だと思う。

俳優では、ウィンダミア卿を演じたバート・ライテルの端正な顔立ちと堅実な演技が印象に残る。ダーリントン卿のロナルド・コールマンも悪くない。一方、ウィンダミア夫人のメイ・マカヴォイは、どうもヒロインと言うには美貌度に劣っている。私は数年前に作られた同じ原作による『理想の女』のほうを先に見ており、そちらではスカーレット・ヨハンソンがこの役をやっていたからなおさらである。アーリン夫人のアイリーン・リッチも、ある種のいかがわしさと魅力がどの程度あったか、疑問。一種の母子物だが、演技はともかく美形ということで言えば総じて男優の方が印象的な映画。
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