こなつ

バジュランギおじさんと、小さな迷子のこなつのレビュー・感想・評価

4.2
2019年に日本で公開された当時はあまり興味が湧かなかったのだが、人気作品にも関わらず配信もないし、DVDを探しても見つからなくてとても気になっていた。今回再上映というので念願叶って鑑賞。評判通りの素敵な作品だった。

歌あり、踊りありのインド映画だが、インド・パキスタン両国の関係性や宗教の違いを作品を通して知ることが出来る。民族を超え、信仰を超え、温かく描かれているドラマに泣かされた。

声が出せないという障害のある6歳のパキスタンの女の子が、母に連れられて隣国インドのイスラム寺院に願掛けに行った帰りに迷子になってしまう。明るくてお人好しのインド人の青年パワン(サルマーン・カーン)は、少女をパキスタンの母親のもとに無事送り届けようと、パスポートも旅券もないのに無謀にも奮闘する。心温まる2人の旅は、両国の人々の協力に支えられながら、宗教の壁を超えて多くの人の心に響くハートフルストーリー。

70年以上も揉めているインドとパキスタン。イスラム教とヒンドゥー教では、食べるものも、祈りの仕方も違う。この作品では政治的な話は一切出て来ない。宗教を超えた人の愛がどれ程大切か、正直者で真面目なインドの青年パワンを通して伝えている。

パワンを演じたサルマーン・カーンは、インドで知らない人はいないスーパースター。アクション俳優として有名だが、この作品で今までのイメージとは違う新境地を開いたと言われている。少女シャヒーダーを演じたハルシャーリーは、5000人の中から抜擢された映画初出演。とても愛らしく可愛い。撮影当時6歳というのに、表情だけで喜怒哀楽を表現する素晴らしい演技に感動した。撮影は、インド各地のロケで行われているが、山や渓谷や砂漠など美しい壮大な自然はとても魅力的で、インド、パキスタンの素敵な音楽と共に物語を彩っていた。胸が熱くなる感動作。今回劇場で鑑賞出来て本当に良かった。
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