モネ

ガタカのモネのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.0
【命の指紋認証】

とある大企業の方々と仕事をした時、そこにいる社員さん達が皆垢抜けて、見た目も良く、当然能力も高い事に愕然とした。
ただ優秀なだけではここには入れないのかと思うと、なかなかやるせなく感じたものだった。

この映画では、それが近未来では遺伝子によってあらかじめ決められてしまう、という世の中を描いている。

昨今の婚姻を取り巻く状況を鑑みると、見た目が良いか、能力が高いか、稼ぎが良い人でないと、子を持てないような世になってきている様に見受けられる。
そう言う意味で、遺伝子操作ではないものの、本作の様な状況に本当に近づいてきていて、この設定を20年以上前に思いついた事に脱帽しました。
遺伝子検査がOKなら、顔が全く違くても、誰も何も思わない描写に恐怖を感じながら、今で言う学歴フィルターの様だなと思ったり…。

ストーリーはハラハラドキドキしながらも、努力で不利な出自を打ち破る主人公に対して救いのある物語で、観終わったあとの気持ちが良い。同監督作品のトゥルーマンショーと同じく、希望の持てる終わり方なので多くの方に勧められます。

そして何より美術が美しく、それを見る為だけでも楽しめる作品でした。命の起源たる、海がキーとして出てきたり、DNAを暗喩した螺旋階段など、凝った美術や演出もセンスを感じました。

余談ですが、Mr.&Mrs.スミスやいま会いに行きます、そして本作と名作の主役カップル役は本当にその後結婚する率が高いですね。
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