三國

シン・エヴァンゲリオン劇場版の三國のレビュー・感想・評価

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〈追記〉
序盤、シンジくんの鬱々とした気分の描出が雑に見えた。というのは、それが乗り越えられる前段階としてしか示されていなかったのではないか? くらいの意味だけれど、だから庵野さんにとってエヴァ的な問いは、少なくとも本作においては既に乗り越えられていて、振り返って拵えられたものだったのかもしれない。本作をもってさらばをいったというより、既にさらばはあった、という感じ。
(最高傑作はシン・ゴジラかな?)
誰かが、現実へ還れというメッセージは旧劇と一緒でも本作には温かみがあるといっていたが、それも子供を見つめる大人の視線か…

お疲れ様とかありがとうとか、総監督庵野秀明の字面に何かおまじないの言葉が欲しい。
同時代人が悪戦苦闘して、躓き倒れながらも立ち上がり…ろくすっぽエヴァを追っていないーー最近勉強のつもりでテレビシリーズから旧劇まで見ましたーー分際でも不思議と心打たれるものがありました。その結果はいわゆる前進とか上昇とか、そのどちらでもないのだけれど「それでいい」ってところまではいったのかなと。
神話って形而上学の最たるものだけど、そのエッセンスがエヴァの魅力だとやっぱり思う(テレビシリーズのOPよろしく)。神的なるものが「話」として公用性を得ているというのは中世の遺物といって棄てるには惜しい宝物庫ではないかしら。

いや、やっぱダメだ。エヴァの文脈を踏んでいくと結局エヴァ否定で完結する。さらばって云ってんだから素直に別れるのがよろしい。妙に人(殊に若い≒幼い)を惹きつけ、その内に閉じさせるーーエヴァもといアニメ一般の持っている磁場のようなものを向こうにやれるほどの成熟が足りない。劇場と生活の往還! そこに橋をちゃんと架けにゃあいかんね…

上演前にジブリ最新作の予告があった。ディズニーに陵辱されたの感があった。
そういや宮崎駿は物語をやってたけど、庵野が神話をやってるのだとすれば、ひょっとすると大枠は一緒なのかもしれない。
無理に現実に寄る必要はない?
かといって「あんなバカな戦争をしやがって」だけでもいけない?
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