三國

七人の侍の三國のレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
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面白い。
エンタメという表現が一番しっくりくるかも知れない。
世界のクロサワなどと厳し気に世の評論家連中が訳知り顔して云々するから、いけない。キアヌ・リーブスと三船敏郎を(或いはサミュエル・L・ジャクソンと宮口精二を)並べて同じく興奮できるコスモポリタニズムを、僕たちは既に持っているんじゃなかろうか。
何も日本特有の文化じゃありません、オリエンタリズムなんかじゃない。もしかするとハリウッドの先取りです。
その意味で、戦後復興期の当フィルムに、往時に盛んだった左翼的思想を読み込む連中が少なからず居ると聞いたことがあるが、然もありなん。農民をオルグして共産国家(或いは国家の否定だから圏?)を打ち立てよう、我らはその捨て石だーーそういう夢を語らせてしまう面白さを、確かにこのフィルムは持っている。誤解すること勿れ、そういう思想を持っているとは云っていない、そういう思想を奉じたがる連中の情熱を駆り立てるだけのエネルギーとでも云ったらいいのか…とにかく元気一杯のファルスです。それで充分。無思想と云ったところで価値の落ちる作品でもあるまい。だからハリウッドだというのです。
ーーベトナム戦争やら昨今の人権問題やら、今も昔も向こうが何かと騒がしいのに比べたら、ひっそりと愛顧されている本作はまだ幸せなのかも知れません。
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