KnightsofOdessa

スリー・モンキーズのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

スリー・モンキーズ(2008年製作の映画)
2.5
[] 50点

2008年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。ヌリ・ビルゲ・ジェイラン長編五作目。選挙活動中の実業家セルヴェトが夜の山道で人を轢いてしまい、お金と引き替えに自分の運転手エユップに罪を被ってもらって云々という話。エユップが服役している間、息子イスマイルは謝礼金を前借りして使い込み、妻ハセルはセルヴェトと不倫に走り、見るも無惨に家庭は崩壊していく。前作『うつろいの季節』よりも窮屈な印象を受けるのは、室内シーンが多いからだろうか。全体的に辛気臭い話で、どうでもいい話でも魅せ切ってしまうジェイランらしからぬ退屈さだが、それは偏に主人公が普通のおっさんだからだろう。ジェイランのカス男への解像度のエグい高さから考えると、主人公にすべきはセルヴェトだったのではないだろうか。とはいえ面白いシーンもいくつかあって、セルヴェトの前で超気まずい着メロが鳴るシーンとか、セルヴェトに泣きつくハセルを遠くから眺めていると思ったら次のショットでそのすぐ隣くらいから窃視で撮り直してるシーンとか…こう書いてみるとセルヴェト関連のシーンばかりだな。本作品から監督の妻エブル・ジェイランが脚本として加わっている。次作以降上映時間もセリフ量も突如として急増するわけで、その転換期にあたる作品なのかなと思うなど。前作にもあった幻想と現実が混ざるようなシーン、本作品でいうびしょぬれの幼児が歩いてくるシーン等は最近の作品にはない…と思うので、もっとやって欲しいね(会話主体になったから必要なくなったのかもしれんな)。
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