雨虎

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅の雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

これまでの『ハリー・ポッター』シリーズでは他国の魔法界についての説明はあったものの、『炎のゴブレット』でフランスやスカンディナヴィア(ノルウェーやスウェーデン)の魔法学校ぐらいしか詳しく登場してこなかった。
本作では時代が違う部分もあるが、服装や街の雰囲気、アメリカ魔法界の人種に至るまでアメリカらしさを感じる部分がいくつもあった。特に『ハリー・ポッター』シリーズでは役職持ちは基本的に白人系が多かったが、アメリカ魔法界では黒人系の魔女がいた点は神経質にポリコレと片付けることもできるが、人種のサラダボウルと呼ばれるアメリカらしい多様性を見せていたように感じる。
服装に関してはアメリカはどちらかと言えば格幅が良く見えるような服装となっている事が多い。そのため、グレイブスは細身の人物でありながらも威圧感があり、わかりやすいヴィランの印象があった。

個人的に『ハリー・ポッター』シリーズの頃から魔法生物についての興味が強く、ニュート・スキャマンダーの著書でもある『幻の動物とその生息地』を読んだだけに、本作での魔法生物を多く出している点はとてもわくわくした。また、友人らとどの寮がぴったりかという雑談で9割がハッフルパフだろうと言われたことがあっただけに、ハッフルパフ寮出身の偉人が登場している点も嬉しい。

本作で印象的だったのは他にジェイコブ・コワルスキーの開業に向けての行動だ。ここの何が印象的だったのかと言うと、公開されたタイミングとして、まだ少年少女だった頃の『賢者の石』の初期の読者が成人して就職しているであろう時期だったからだ。ここのジェイコブの苦労は共感できたし、同じ年頃の人も同じように感じていたに違いない。

ただ、公開したタイミングから上記の年齢層をターゲットにしているのかと思いきや、物語の内容としては10代でも非常に分かりやすいものとなっており、魔法動物や魔法などの映像としての綺麗さは文句なしではあるものの、展開はやや大味なものとなっている点は非常に残念だ。
とはいえ、そういった展開あってこその綺麗なオチでもあるため、一概に悪いものとするのも難しいところではある。

時代考証もしっかりしているように見える。例えばナーラックと会ったスピークイージー(違法酒場)は禁酒法時代を意識して作られているため、厳重な入口も内装もそれらしい。
ただ、魔法界の法律と何の関係があるのかは不明だったため、そのあたりは考察を深める余地があるのかもしれない。
雨虎

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