松岡修造が音楽をやっている世界線の話です。
うそです。
例えて言うなら、それくらい暑苦しい、いや、暑狂しい映画です。
鬼軍曹フレッチャー教授とそれに必死に食らいつくジャズドラマーを夢見るニーマンの激闘を納めた物語。現在の日本ではまず許されないパワハラモラハラ体罰を息をするようにコンプリートするフレッチャー教授。その教えのもと、汗まみれになろうが、手が血だらけになろうが、先輩を貶めようが、彼女を切り捨てようが、全てを犠牲にして彼に付いていこうとするニーマンのやり合いがとにかく凄まじいです。
友情、恋愛、家族愛、この映画にはそんなもの一切ありません。映し出されるのはただ音楽の高みを目指す男二人のみ。端切れみたいな演出はありますが、この映画が終わる時、「ああ、この映画はこの男二人以外に登場人物は居なかったんだ」と思わされます。それくらいこの映画は終わり方に全てが詰まっています。
全てを語らずに音楽だけで映画を終わらせる本作は、ややこしい話や演出を限界まで削ぎ落として、音楽だけでコミュニケーションをとる二人の存在だけで映画が成り立つある意味天然素材の映画でした。
「There are no two words in the English language more harmful than “good job”.」~英語で最も危険な2語は、グッド・ジョブ(上出来だ)~