三國

ベンジャミン・バトン 数奇な人生の三國のレビュー・感想・評価

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フォレスト・ガンプ感。それを人生系って呼んでもいいけど、その系って妙に達観してる。嫌だなあ、もっとドロドロしてるのに。世事に拘う。給与が少ないと愚痴を零すのみならず、たまたま電車に居合わせた奇人に気を取られ満足に読書がいかない、たったそれだけで一日が台無しになることもある。そんな些事は気にかけないようで、嫌な気もする。天上界から見下ろされてるような、ーーそんな奴にわかってもらおうとは思ってない。
とはいえ、この系が受ける=泣けるのはそれだけ我々が天上界から遠くにいるということで、時に、例えば休日を前にした晩酌の時間に、達観の境地へ連れて行ってもらうことはアリなのでしょう。一寸先が見えない平場の視座からなされる(=行為)人生ではなく、マッピングされた人生系を眺めることの誘い。それはそれとして、アリだ。

でもなあ。

子供がよかった。
よちよち歩いて、無垢に笑って、ーーそんなんだから厭世家なのかな。苦笑

20世紀の作品。それはやっぱり、過ぎ去りし時間を、決して元には戻せない時間をいつまでもいつまでも執着し続ける、オトナ帝国の嫌いも入り込んだノスタルジー?

数奇ってのは、拘ること。

子供と老人は違う。どんなに似てるといわれても、これだけは曲げられない。違う。
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