雨虎

ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記の雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ドラえもんファンの間では藤子・F・不二雄が連載中に亡くなったことでも有名な作品。それでも完成となったのもスタッフの並々ならぬ努力の賜物だ。

内容を考えると藤子・F・不二雄は自らの死期を悟り、これが遺作になることがわかっていたかのようだ。今までの藤子・F・不二雄は長い話の大筋を完成させてから制作するのではなく、テーマを決めて後からアイデアを集め作品を完成させていくという方法であるのに、今回ばかりは大筋が伝えられていたと言う。また、細かな指示も多く、スタッフの仕上がりに満足した後に逝去した。
この話を聞くとまるで作中に登場する種まく者そのものという印象を受けた。種まく者が生命を与えた点はドラえもんという生命。そして知恵はスタッフたちへの指示や教育。そして後に任せるという流れがある。
ここでドラえもんを続けてほしいではなく、後に任せるという表現をしており、ある意味ではこの作品で終わっても良いという意味も含まれているような気もした。

また、この作品では環境保全意識の高いぬいぐるみたちが登場する。今で言うSDGsが完全な理想郷として描かれている。当時は低効率だったという理由もあるが、ソーラーパネルが登場せず代わりにソーラーバッテリーが登場する。そういう意味でもソーラーパネルの建設により環境破壊や災害リスクが上がるという問題点が分かった現代にも通用するだろう。
他の発明品で容易に製造可能で耐久性が高い素材、空気清浄機と様々な発明品も登場している。ある意味で、藤子・F・不二雄の考えた理想郷が描かれているのだろうか。
雨虎

雨虎