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月世界旅行のdirのレビュー・感想・評価

月世界旅行(1902年製作の映画)
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フロンティア・スピリッツの残酷な運命論。
何の気なしに観てみると、たった14分程度の短編の中に、SF映画のキホン的な要素(宇宙船の建造、出発、異星人との出会い、帰還)が全て詰め込まれてる。

少し恐ろしいのは、月に到着した天文学者たちはそこに住んでいた先住民の長をぶち殺し、迫害するシーン。ありったけのフロンティアスピリッツがあるんだけど、それは人間の一方的な搾取で、残酷な運命が待ってる。ポップな影に隠れて、意外とシリアスなのかも。

ロケットが刺さり、顔をしかめる月はメリエス本人が演じていて、そのビジュアルのおもろさがこの映画のキャッチーさに活きている。

『月世界旅行』の後にも、その続編的な『太陽旅行』(‘04)や『海底二万マイル』(‘07)、『遠距離電気写真』(‘08)、キャリア末期における集大成的な作品『極地征服』(‘12)なども残しているらしいから、いつかちゃんと見てみたいな。
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